土肥: リーマンショック後に、農業をやりたいという人が増えてきたそうですが、やはり「収入」の部分は大きいと思うんですよ。おいしい野菜を作りたいという情熱があっても、収入が少なければモチベーションを維持することは難しいですよね。
西辻: 例えば、1000平米の土地があって、そこでお米を作ると420キロくらいで、収入は10万円ほど。野菜だと30万円ほど。この数字を見る限り、やはり現実は厳しいですね(平均的な数字で、個人差は生じます)。農業の世界でも、他人と同じようなことをやっていてはダメで、やはり考えないといけません。例えば、数年前から「ミツバチ」に注目が集まっています。
土肥: ミツバチ? どういうことでしょうか?
西辻: 「ミツバチ」と聞いたら、ハチミツを想像する人が多いのではないでしょうか。以前はハチミツを作るくらいしか方法はなかったのですが、いまは違う。ハウス栽培の中に、ミツバチを放すんですよ。すると、ハウスの中の花にミツバチが受粉する。ミツバチがおいしいモノとおいしいモノを結合させるので、作物がおいしくなるんですよね。例えば、数年ほど前からイチゴがおいしくなったと感じませんか?
土肥: 確かに。
西辻: イチゴがおいしくなった裏に、ミツバチの存在があるんですよね。というわけで、ミツバチ貸出業者がもうかっているんですよ。
土肥: 収入はどのくらいですか?
西辻: 1000万円を超えている人が多いのではないでしょうか。実際、広島県で養蜂農業家として活躍されている方を講師としてお招きし、弊社が展開する大学校(アグリイノベーション大学校:2014年2月関西・関東で開校予定)で「養蜂」カリキュラムを開講することにしました。予想通り、反響がかなり良いですね。
土肥: おお、それを聞くと「じゃあ、オレもミツバチ貸出業者になろう」とか、養蜂事業を目指す人が増えてくるかもしれませんね。
西辻: いまの時代に「オレは米を作る。米の量で勝負する」というのは、ナンセンスだと思っています。もちろんその需要があればいいのですが、そうでなければ頭を使わなければいけません。例えば、コップが目の前にあったとします。そのコップは水を飲む以外に価値はないのか? いろいろな角度から見て、違う価値を見い出すことが大切だと思っています。
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