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» 2013年11月28日 10時00分 UPDATE

伊吹太歩の時事日想:橋本龍太郎をも盗聴していた米国「経済スパイ」の真実 (1/3)

米国の国家安全保障局のスパイ問題は次々と新たな疑惑が浮かんできている。「まさか法治国家の米国がそこまでやるとは……」という感想もあるかもしれないが、もともと米国にとって諜報活動は日常茶飯事なのだ。

[伊吹太歩,Business Media 誠]

著者プロフィール:伊吹太歩

出版社勤務後、世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材、夕刊紙を中心に週刊誌「週刊現代」「週刊ポスト」「アサヒ芸能」などで活躍するライター。翻訳・編集にも携わる。世界を旅して現地人との親睦を深めた経験から、世界的なニュースで生の声を直接拾いながら読者に伝えることを信条としている。


 何度かこの連載で書いてきたが、米国家安全保障局(NSA)のスパイ問題は次々と新たな疑惑が浮上し、余波が続いている。

 2014年10月末にもまた、NSAの「犯罪行為」が明らかになった。CNNによれば、「米ワシントン・ポスト紙は30日、NSAがネット検索大手のGoogleやYahoo!のデータセンターをつなぐ通信回線に極秘に侵入していたと伝えた……(中略)……米国の裁判所の手の届かない外国で光ファイバーケーブルを監視し、Yahoo!やGoogleのデータセンターからの大量のデータをコピーしていたという」。

 とんでもない話だが、米国のめちゃくちゃな行為が次々と明らかになっているために、もはや麻痺して問題の重大性を軽視してしまいそうになる。

まさか米国も法を破ってまで盗聴はしないだろう、という幻想

 同じく10月には、ドイツのアンゲラ・メルケル首相の電話がNSAによって10年以上も盗聴されていたことが明らかになった。ほかにも大物の通話などが盗聴されている。「被害」にあったのは外国の指導者35人ほどだというが、そこには「少なくとも」という言葉が付く。さらにGmailやYahoo!メール、Facebookなどから個人の連絡先リストも日常的に抜き出していたと報じられてもいる。

 著者は、元CIA職員のエドワード・スノーデンによるリークがニュースで初めて報じられた直後、ある欧米メディア関係者と交わしたやり取りを今もよく覚えている。

 筆者が「米国のやったことだけに、外交交渉だけでなく貿易やTPP(環太平洋経済連携協定)交渉にも優位になるようにと日本へのスパイをしている可能性は高いだろう」と指摘すると、それなりに業界歴の長いこの関係者は「いやいや、それはさすがに……。政府機関が法を破ることになるから米国でも難しいですよ」と、非常にナイーブなことを言った。

 この関係者の発言は論外だとしても、多くの人たちの中では「まさかそこまではやってないだろう」という意識が強いのかもしれないと感じたのを記憶している。ただ残念ながら、現実はそんなに甘くない。

 著者がそのメディア関係者にそんな発言をしたのも、NSAのスパイ活動が米国の商業的な利益のために使われた過去があったと記憶していたからだ。その後いろいろ調べてみると、実際にCIAが1994年に貿易交渉に際して日本の関係者を盗聴していた資料が出てきた。一体どんなことがあったのか。

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