あの半沢直樹や安倍首相も……日本社会を埋め尽くす“カエル男”ってナニ?窪田順生の時事日想(2/4 ページ)

» 2013年11月26日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

奥さんに支配され、搾取されている男

 「カエル男」とは、大阪大学大学院経済学研究科准教授の深尾葉子さんが著した『日本の社会を埋め尽くすカエル男の末路』(講談社α新書)のなかで紹介されている概念で、一言で言えば、「奥さんにカネも決定権も支配され、経済的にも搾取されている男」のこと。本コラムで以前紹介した『日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体』でも詳細に論じられている

 カエルはタガメに捕食されるのだが、この食われ方が目を覆いたくなるほどエグい。まず、物陰に身を潜めたタガメがガバッとカエルの背中に飛びかかり、瞬時に前脚で挟み込んで自由を奪う。次に、長い嘴(くちばし)をプスッと刺してチューチューと血肉を吸う。逃れようと必死にもがくカエルだが、やがて観念してぐったり。骨と皮だけの亡骸になってしまうというわけだ。

 この哀れなカエルの姿が、財布のヒモと家庭のイニシアチブをガッチリと握られ、30年住宅ローンをひとり背負うハメになる世の男たちに丸かぶりだ、と深尾さんは言う。

 愛する家族のために一生懸命働いてなにが悪い、とカチンとくる人もいるかもしれないが、本書は、サラリーマンをこきおろそうなどという主旨ではない。読んでいただけば分かるが、「夫婦の絆」などの美しい響きでうやむやさにされてきた「搾取と支配の構造」が引き起こすさまざまな社会病理にある。

 例えば、本書で「攻撃型カエル男」と位置付ける「半沢直樹」なんか分かりやすい。

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