なぜコーヒーを“手渡す”のか? ローソンがセルフ式を捨てた理由仕事をしたら“コーヒー”ができた(後編)(1/5 ページ)

» 2013年11月20日 08時02分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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仕事をしたら“コーヒー”ができた:

 「コーヒーはコンビニで買う」――。最近、こういう人が増えてきたのではないだろうか。

 首都圏に住む20〜40代の男女に、コンビニコーヒーを利用したことがありますか?(関連記事) と聞いたところ、約半数の人が「利用したことがある」(49.9%)と回答した(朝日大学マーケティング研究所)。なーんだまだ半数の人は利用していないじゃないか、と思われるかもしれないが、利用経験のない人の35%が「機会があれば利用したい」と答えている。数字を見る限り、今後もこの市場の拡大が見込まれるのだ。

 ところで、ひとつ気になることがある。コンビニコーヒーはどんな人が買っているのだろうか。「男性はコーヒー、女性はカフェラテ」をよく飲んでいるイメージがあるが、本当にそうした傾向があるのだろうか。そこでローソンのマチカフェを担当している吉澤明男(MACHIcafe・まちかど厨房部・部長)さんに、男女年代別に“売れている商品”をうかがった。

 またローソンのコーヒーはどのようにして生まれたのか。ヒット商品が生まれるまでの舞台裏にも迫った。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。前後編でお送りする。

 →ローソンのコーヒーはどんな人が買っているの? データから見えてきたコト(前編)

 →後編、本記事


コーヒー事業は成功しなかった

土肥: ローソンのマチカフェを担当されている吉澤さんは、もともと本部でマーケティングなどを担当されていました。しかしイロイロなことがあって、中四国の岡山に赴任されました。東京の自宅を売って、不退転の気持ちで「がんばろう」と思っていたのに、1年後に本部から連絡があったそうですね。「東京に戻って、コーヒーを担当してくれないか」って。

吉澤: ローソンでは10年以上前から、コーヒーに何度も何度もチャレンジしてきました。でも、なかなかうまくいきませんでした。

土肥: それはなぜですか?

吉澤: そもそも「どういったコーヒーを出したらいいのか」「どういったビジネスモデルでやればいいのか」といった点が、きちんと決まっていませんでした。だから「コーヒーマシンはどういったモノにすればいいのか」「コーヒーの味はどういったモノにすればいいのか」といったことが決められなかったんですよ。

 またプロジェクトも各部署の人が片手間にやっていました。なので本腰を据えてやることができない……そんな状態でした。

土肥: そこで吉澤さんに白羽の矢がたった。「コーヒー事業を立て直してくれないか? 君の力を借りたいんだ」といった感じで迎えられた。

吉澤: とんでもない。東京に戻されて「今日からよろしくお願いします」とあいさつしたものの、自分の机とイスがないんですよ。仕方がないので、他の部署のところで1カ月ほど“間借り”していました。

 また予算もありませんでした。どうしたらいいのですか? と聞いたところ「自分で予算を取ってきてください」とのことでした。

土肥: 期待されていないですねえ(苦笑)。で、どうされたのですか?

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