冒頭のイタリアンレストランでのシーンに戻ります。熱く語る若手採用担当者に、私はこんな風に言いました。
「視野を広げるべきだという発言は、学生の目線になって話しているように聞こえるけれども、もっと生臭い話をしていいと思う。要は、自社にもっと注目してほしいというべきだ。採用担当者は、就活生の役に立ちたいのか? 採用担当者の仕事は、自社にもっとも必要な人材を、適切なコストで調達することであって、就活生のためになにかをすることではない。だとしたら「大手ばかり見ないで、ベンチャー企業も見ろよ!」とエゴ丸出しで叫ぶのもアリだと思う。それに共感してくれる人の中で、自社の求める人材に最適な学生を見つけるのが筋だよね。学生のために、というお題目は唱えない方がいいよ」
企業はたくさんの就活生と会いたがります。これはいつの時代も変わりません。なぜなら、「もっと優秀な学生がいるかもしれない」という「恐れ」から、多くの採用担当者は逃れられないからです。企業と就活生、その出会いを最大化するため、つまり企業のニーズに応える形で、就活の周辺にあるビジネスは拡大を続けてきました。その結果が、いまなのです。
ただ、だから悪いといっているわけではありません。いまの状態は、ある意味、多くの企業が望んだ結果であることは間違いないのですから。そして、それは違うかもしれない、という企業が、冒頭で紹介したように「新しい動き」を見せ始めている、というのも、また、いまの就活なのです。
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