魔法の言葉「視野を広げる」が、就活をお手軽化させる!サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/4 ページ)

» 2013年11月18日 08時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

新卒一括採用という仕組みはすでに限界が来ているのか?

 就活の効率化は企業にとって必要な施策だったとしてしまうと、誤解を生むかもしれません。あくまで企業サイドの論理を「うがって見た」場合を書いてみただけのことです。事実、就活が効率化することは、就活生にとってメリットが大きい。(手書きのエントリーシートが不要になるだけでも、就活生にとって、手間の軽減は著しいでしょう)効率化すれば、活動量を増やすことなく、多くの企業との接点を持つことが可能になれば、入社後のミスマッチが減る可能性も期待できる。なにをしたらいいのか分からないという、就活生の普遍的な迷いに対しても、いままで知らなかった企業や仕事に出会う機会が増えることで、解決できるかもしれないのですから。

 しかし、ここでひとつ考えなければならないことが横たわっています。就活におけるさまざまな「イベントの役割」のことです。例えば、エントリーシートひとつとってもそうです。就活におけるエントリーシートの役割は、お決まりの履歴書だけでは、それぞれの企業が学生の魅力を測ることができないし、学生は自分の個性をアピールすることが不可能、という中で、一定の役割を果たしてきたはずです。しかし、逆に言うとその分、就活生、企業の双方に手間がかかります。ここをテンプレート化することで、効率化され手間は軽減しますが、本来の目的だったエントリーシートの役割は大幅に果たせなくなっている、といっても過言ではないでしょう。

 現状の仕組みの延長線上で「新卒一括採用」を続けていくことは、本当に難しいことになりつつあるのでしょう。考えれば、企業と就活生との「出会いを最大化」させることが、就活のもっとも重要な目的でした。いや、就活と書いてしまうと語弊がありますね。企業にとっての新卒一括採用の目的と言い換えるとスムーズになるでしょう。たくさんの学生と会うことで、より優秀な学生を選ぶことができるはず、というしごく当たり前の発想の延長線上に、就活ナビサイトも設計され、採用アセスメントも効率化され、採用イベントも拡大を続けているという、一面が透けて見えるはずです。

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