娘と父のマジトーク(その3) 「モンスターズ・ユニバーシティを見て、小説家になりたいと思った」父と娘の週末トーク(3/4 ページ)

» 2013年11月15日 17時00分 公開
[シックス・アパート 中山順司,Business Media 誠]

自分の考えとか想いを、人に伝えたいって気持ちが強い

娘: 実は3作目もすでに考えてて、テーマと内容はもう決まってるの。

父: へぇぇ、まだ2作目の執筆途中なのに?

娘: アイデアがどんどん湧いてくるんだ。

父: どんな作品?

娘: テーマはね、「人間の生きる意味」。

父: 13歳のテーマにしては重すぎるわ……太宰治かお前は(笑)。普通、女子中学生ってもっとこう……身近なテーマを選びそうだよね。家族愛とか友情とか。サオリ、いつからそんな文学少女になったの?

娘: いやー……人間って、何のために生きているんだろう? 生きる意味って何だろうって最近よく考えるんだよね。で、自分なりにこうなんじゃないかなって、考えがまとまってきてて、それをストーリーにしてみたいんだ。

父: サオリなりの仮説がある、と?

娘: そう。学校でクラスメイトや先生とか観察しながら、自分の考えが正しいかどうか確かめてるとこ。

父: それは興味深いな。ぜひ、サオリの考えを聞いてみたいんだけど……作品を読むまでの楽しみにとっておくよ。でも、よくそんなに書きたいことが次々に思い付くね?

娘: 何でだろうね? うまく説明できないんだけど、自分の考えとか想いを、人に伝えたいって気持ちが強いんだ。

父: ほう、なら小説家って限定しなくても、漫画家とか映画監督とかって可能性もアリかもしれないね? それに、戦場カメラマンや画家だって、伝えたいっていう願いを写真や絵で表現しようとしているという意味では、小説家と根っこは同じじゃない?

娘: そうだね。でも、今は文章で伝えたいんだ。

勉強が趣味に役立つのは、すばらしいこと

父: 誰か参考にしてるというか、お手本的な作家さんはいるの?

娘: 富安陽子さんって児童文学作家が好きなんだ。この人の本、たぶん全部読んだと思う。私の部屋の本棚にいっぱいあるよ。

父: トミヤスヨーコ? 児童文学書は読んだことないから、その人は知らないな……。

娘: シノダ!シリーズと、やまんばあさんシリーズがお気に入りだよ。文章とか、文体とか、マネしてるんだ。単語の使い方や表現も勉強になる。

父: いいんじゃない? 好きな作家を模倣するのから入っていくのって。でもさ、サオリは覚えてないだろうけど、小学校に入ったばかりのころは、ひらがなもカタカナも全然知らない状態で、自分の名前も読めなくて、国語力が人よりずっと遅れてたんだよ。お母さんが「サオリは他の子より、知能が劣っているかも……」って本気で心配してたんだから。

娘: 覚えてない(笑)。でも今は小説が好きだから、国語で勉強した論説文の書き方とか、逆接とかの技法を小説に利用しているよ。

父: うむ、勉強が趣味に役立つのは、すばらしいことだ。

娘: そりゃまー、勉強第一だもんね。

父: そうなん? プロの小説家になりたいから、進学しないって手もなくない? スポーツだと、高卒プロ入りってあるじゃない。

娘: だって今はただの趣味だし。そういう道もあればいいなって思うくらい。それに、小説家はなりたくてなれるものじゃないでしょ? 賞とか受賞したりしなきゃいけない世界だろうし。

父: じゃあ、進学する?

娘: そりゃ、するよ。

父: 最低、これだけは必要だろって学歴のラインはどの辺?

娘: 最終学歴で中卒はあり得ないよね……。高卒が最低ラインな気がするけど、個人的には、大学は卒業しておくべきなんじゃないかなって思う。

父: じゃあ、大学には行きたい?

娘: 行きたい。何を勉強するかは、まだ決められないけど。でも、何を勉強するにせよ、小説にも活かせるって思う。

娘の部屋の本棚。富安陽子氏の作品がいっぱい

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