コラム
» 2013年10月31日 16時00分 UPDATE

「派遣」は安定した生き方?:技術者の新しい働き方、「技術者派遣」について考える (1/2)

得意分野を生かせる会社で働きたい――技術者を目指す学生の多くはそう考え、会社を選ぶ。しかし最近、自分の技術力を磨き、安定した雇用のために“派遣”を目指す技術者が増えているという。技術者派遣とはどのような世界なのか、ちょっとのぞいてみよう。

[今藤弘一,Business Media 誠]

“派遣”される技術者たち

 「派遣」という言葉を聞くと、総務や経理など一般事務系の仕事を思い浮かべるのが普通だろう。しかし今回取り上げる「技術者派遣」は、それとは就業する形態が異なる。

 いわゆる“派遣さん”の場合、派遣として働きたい人は派遣会社(派遣元)に登録をし、そこから紹介された企業で就業する。賃金は派遣元から払われるのだが、派遣元との契約は仕事ごとに異なり、派遣先の企業から提示された就業期間が終われば業務も終了。また新たな派遣先企業が見つかるまで待機となるが、その間もちろん給与は支払われない。

 ところが技術者派遣業界では、これとは異なるケースがある。技術者は派遣元の企業に“正社員”として雇用され、派遣元の企業から提示された企業に派遣されて働く。プロジェクトが終了したら派遣業務が終わるという流れは同じだが、正社員なので次の仕事が決まるまでも雇用が確保されており、給与が支給される。これは大きな違いだ。

「一般派遣」と「特定派遣」

 なぜこのように待遇が違うのかというと、前に上げた例は「一般派遣(登録型派遣)」、技術者の例は「特定派遣(常用型派遣)」で、派遣の形態が異なるからだ。一般派遣はいわゆる“非正規雇用”だが、特定派遣の場合は正社員として雇用されているので、有給休暇もあればボーナスもあるし、定年もあり、退職金も支払われる。

 さて、一般派遣と特定派遣が、それぞれどれくらいの市場規模なのか見ていこう。技術者派遣の業界団体である「日本エンジニアリングアウトソーシング協会」が2013年6月に発表した資料によると、2010年度の厚生労働省統計における人材派遣市場はおよそ5.3兆円。この内の2割が技術者派遣市場であり、その規模は約1兆1331億円と推定されるそうだ。これには一般派遣で働いている技術者の数字も含まれるが、技術者派遣の市場規模を考える上では参考になる。

ay_jinzai01.jpg 技術者派遣市場の規模

 では特定派遣として働く技術者の現状は、どのようになっているのだろうか? 以下、技術者派遣業界大手のテクノプロ・ホールディングス常務執行役員、嶋岡学氏への取材を元に考えていきたい。

新卒で入社する人もいる

 派遣として働く技術者というと、キャリアの長いエンジニアで、これまで開発した案件も多く、いわゆる“職人肌”というか、身につけた技術を生かしていろいろな会社を渡り歩く……といったイメージを持つかもしれない。ところが現実は異なり、大学卒の新入社員として技術者派遣を選び、入社してくる人もいる。

 テクノプロ・グループの例で言うと、1万人超の従業員数に対して、多いときは500〜600人、2013年は約260人の新卒を採用したという。テクノプロ・グループに在籍している社員たちは、自社にある研修施設でスキルを身につけるとともに、これまで培ってきた知識をブラッシュアップさせる。そして全国のさまざまな会社に派遣されて働くことになる。プロジェクトが終了したあとも研修を受け、次の職場に備えて、各研修所でスキルアップを図っていくことになる。

 では、技術者はどのようなスキルを身に付けることが重要なのだろうか。派遣元各社にはそれぞれの強みがあるのだろうが、テクノプロ・グループの場合は「3次元CAD、組み込みソフトウェア技術、それと解析としてのCAE、インバータ、高周波回路の5種類と考えている」(嶋岡氏)。この5分野のテクノロジーを持つ人に絞って技術者の育成に力を入れているという。

 派遣先企業での就業期間は、ソフトウェアなどのIT系だと120日〜半年、電気や機械系の仕事となると4年程度と、長期にわたってプロジェクトに関わるそうだ。

ay_jinzai02.jpg 新卒として入社し、研修を受けて技術者になる社員も多い
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