都内のオフィス家賃を比較する――青山一丁目と神田、どちらが高い?新連載・えっ、わが社の賃料、高すぎ?!(1/3 ページ)

» 2013年10月31日 08時00分 公開
[ビルディング企画]
オフィス通信

 家に家賃があるように、会社もまたオフィスの賃料を支払っている(自社ビルを持っていなければ)。オフィスの賃料は何で決まるか? ビルそのもののクオリティももちろんあるが、どのエリアに建っているのか、地域による違いも実は大きい。

 例えば、誠編集部があるアイティメディアの場合。アイティメディアは現在、港区赤坂8丁目にあるビルに間借りしているが(最寄り駅は「青山一丁目」だが、住所としては赤坂)、2012年にここに引っ越してくるまでは、千代田区大手町、といっても限りなく神田に近い、とある新築ビルにいた。神田に近いとはいえ住所は大手町、しかも新築ビルということで賃料は当然高く、このコストを押さえるために、大手町から赤坂8丁目に引っ越してきた。結果として大きなコストカットになったのだが、もしあのとき千代田区から港区に引っ越さず、同じ千代田区内で大手町から神田に引っ越していたら、赤坂にいる今よりも、賃料は高くなったのだろうか、それとも安くなったのだろうか?

千代田区と港区の推定成約賃料を比較する(2013年8月)

 下の図を見てほしい。

東京都千代田区の推定成約賃料。調査対象は期間内にテナント募集を行った1019棟のうち大型ビル(100〜300坪)、調査期間は2013年8月1日〜8月31日
東京都港区の推定成約賃料。調査対象は期間内にテナント募集を行った大型ビル1028棟、調査期間は2013年8月1日〜8月31日

 この地図は、8月に期間内にテナント募集を行ったビルを対象に、エリアごとに推定成約賃料の平均を出したものだ。推定成約賃料とは、現在の空室物件の成約時に推定される賃料を、坪単価で表したもの※。上が大手町・神田がある千代田区で、下が青山・赤坂がある港区の地図である。

※注…推定成約賃料は成約の目安となる賃料を推定するものであり、実際の成約賃料の推計ではありません。

 大手町周辺(図の表記では「東京駅周辺」)の推定成約賃料が3万182円なのに対し、その隣のエリアである神田は1万5501円。神保町はもうちょっと高くて1万8446円だ。千代田区全体で見ると、空室率は6.24%(前月比-0.28%)、推定成約賃料は1万7316円(前月比+77円)。8月に丸の内、日比谷、神田でそれぞれ300坪以上の成約が複数あり、新築供給が一服したことにより、既存物件の中で比較的値ごろ感のある物件に人気が集中。また、値ごろ感のある物件を中心に成約が進んだため、高価格帯の物件が市場に残り、推定成約賃料は4カ月連続で上昇している。

 港区を見ると、アイティメディアがある青山一丁目駅近くは、赤坂エリアが1万6708円、表参道エリアが1万8500円。港区全体で見ると、空室率は9.20%(前月比+0.10%)、推定成約賃料は1万5639円(前月−43円)となっている。六本木一丁目「アークヒルズ サウスタワー」など大型新築ビルの竣工に伴い、8月には約6500坪の大規模供給があり、空室率が上昇。しかし、一方で三田で約1000坪の大規模成約が2件、青山と品川で約500坪の大型成約が3件など多数の成約があったため、空室率の上昇幅は前月比+0.10%にとどまった。

 アイティメディアの話に戻すと、千代田区大手町から港区赤坂に引っ越したことで大幅に賃料が下がった。ただ、同じ千代田区内の神田や秋葉原、飯田橋エリアに引っ越していたら、今よりもっと賃料が下げられた(かもしれない)ということになる。

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