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» 2013年10月31日 08時00分 UPDATE

勝者のための鉄則55:松井秀喜は素質を生かし切れなかった……もったいない (1/2)

松井秀喜がその素質を最大限生かし切ったら、三冠王に3、4回は輝いていたはずだ。

[張本勲,Business Media 誠]

集中連載「勝者のための鉄則55」について

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 本連載は張本勲著、書籍『プロフェッショナル 勝者のための鉄則55』(日之出出版)から一部抜粋、編集しています。

プロ野球の世界で「一流」と呼ばれるのは、「自分の本当の素質」を追究し、その素質に“正しい方法"で磨きをかけた選手たちを指します。「それは一般社会でも同じだ」と、著者は語ります。

ではどうしたら、「自分の素質」に気付き開花させることができるのか、真のプロフェッショナルとして認められるのか。

王貞治氏、長嶋茂雄氏の「ON」と肩を並べる球界の重鎮が、すべてのビジネスパーソンとプロ野球ファンへ向けて、「ハリモト流☆成功思考、行動、ハウツー」を、熱いメッセージとして贈る一冊です。


 松井秀喜がその素質を最大限生かし切ったら、三冠王に3、4回は輝いていたはずだ。

 第1回目でも言ったが、人にはそれぞれ持って生まれた素質がある。プロ野球の世界に身を置いていると、そのことを意識することが多い。では、素質に見合った技術をどれだけの選手が身に付け、己の素質を生かし切っているかというと、これが意外と難しい。多くの選手が自分に合った技術を身に付けられず、間違った技術のままプレーしているケースが多いのだ。

持って生まれた素質を生かし切れなかった

 その意味で、持って生まれた素質を生かし切れず、もったいなかったと私が思っている代表格が松井秀喜だ。巨人、ニューヨーク・ヤンキースで活躍、日本シリーズ、ワールドシリーズを制し、国民栄誉賞まで受賞した松井がどうして、と疑問に思う読者もいるだろうが、私からすれば、松井が本当に正しいバッティング技術を身に付けていたら、彼の成績はあんなものではなかったはずだ。日本のプロ野球の歴史は80年近くあるが、松井の持っていた素質はその中でも一番。まさに、100年に1人の逸材。少なくとも、私の半世紀以上のプロ野球生活で直接目にした中ではピカイチ、王や長嶋さんの比じゃない。もう1人、清原和博も同じように素晴らしい素質を持っていて十分に生かし切れなかった。この2人の素質は本当にスゴい。それは確かだ。

 私のようなバッティングの専門家から見ると、その人の素質というのは30分くらいずつ4、5回バッティングを見ればだいたい分かる。身体のパワーや腕力、腰の強さ、背筋、手首の強さと柔らかさ、そして何よりボールをバットの芯に当てるタイミングの取り方など。松井と清原は、そういったバッティングに関する素質と才能が抜群なのだ。タイミングの取り方にしても、ふつうなら芯に当たらないようなコースでも、上手く合わせて当てることができる。なんぼ当てようとしても、ふつうは当てることができないのだから、これはもう天性のものとしか言いようがない。

 それだけに、松井が正しい技術をきちんと身に付けて打っていたら……と思うと、つくづく残念でならない。とくに私は、彼が新人の頃に2回、臨時コーチとして当時の長嶋監督から頼まれたからなおさらだ。

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