株価というものは需要(買い手)と供給(売り手)のバランスにより決まるのですが、そうしたバランスをつくるさまざまな要因があって、株価は変動するわけです。そうしたマーケット全般の変動要因の主なものは景気、金利、為替、企業収益です。
景気は経済指標とも言えますが、国内の情勢に左右されるのはもちろんのこと、今はそれだけではなく、米国や中国、新興国のPMI(※1)やGDP(※2)に影響されて日本の市場が変動するというケースもよくあります。
景気が良くなると株価は上がります。それは生活に余裕が生じて、預貯金から株式にお金が流れていく傾向があるからなのです。
次に金利です。金利の基準は各国や地域、それぞれの通貨単位により異なります。通貨を発行している国の経済状況やその国の信用リスクなどにより決まっているのです。
一般的には、低GDPでデフレだと金利は低くなります。インフレへの期待が低いと、「この国はあまり経済成長しないんじゃないかな?」と判断されるからです。
しかし、金利が低下すると株価は上昇するとみられています。
金利が引き下げられるといくら預金してもあまり利子がつかないので、資金を株式市場に投資して運用しようという気運が高まります。そのため、株価が上がる傾向がみられるのです。さらに金利が引き下げられると、投資に加えて消費も増え、生産も多くなります。生産が増えればそれを生み出す労働力も必要になるので、雇用が拡大して景気は回復に向かうのです。景気回復を掛け声に低金利政策を発動するのは、そういう理論にもとづいたものです。
金利が下がると住宅ローンの金利も低くなって不動産投資の需要が増え、銀行の金利も下がることで企業が資金を借りやすくなるので、投資も増えるのです。それに、企業にとっては借り入れしている金利負担が軽くなります。企業の業績が上がると、株価が上がりやすくなります。すると投資家も潤って、消費の拡大につながります。アベノミクスが叫ばれた際に高級時計や高級車の需要が増えたのは、こうした背景があります。そうして複合的に景気が上向いていくということです。
株価は景気の先行指標といわれ、おおまかに半年後の景気の予想を表すとされています。基本的に、景気が上向きの局面では株価も金利も上昇します。そうして金利が高くなってくると、リスクを負ってまで株式投資しなくても預貯金で資産を増やせるため、株価は下がる傾向にあります。
また、不景気のときには中央銀行が政策金利を下げることで、個人消費や企業の新規投資を喚起して景気回復対策とすることもあります。とはいえ、金利が低いと銀行は※3利鞘(りざや)が稼ぎにくくなってしまいますから、思ったより市場にお金が回りにくくなります。2000年代になって長らく、日本はそういう状態でした。
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