元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。アイティメディアのONETOPIでは「ディズニー」や「博物館/美術館」などのキュレーターをこなしつつ、自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め日々試行錯誤中。
ここは米東海岸のとある場所。しかし、ほんのちょっと雰囲気が違います。米国のオフィスビルなら必ずデカデカと飾られているロゴが一切なかったり、入り口のセキュリティが身分証明としてパスポートを要求してきたり……。
実はここ、日本でも知らぬ人はいない超有名な企業の施設なのです。日本のメディアには初めて公開されるという、あの「Visa」のオペレーションセンターイースト(いわゆる、データセンター)に突撃してきました。
今回、日本のメディアとしては初めてその内部を案内してもらいました。もちろん、場所は秘密ですし写真を撮るのもNGです。ここからの写真はVisaから提供されたものになります。
では、オペレーションセンターイーストの「異様さ」から紹介しましょう。一見すると5階建て程度のよく見かけるビルです。しかし、本体はそのビルではなく、裏手にある平屋建てに見える建物。一段深くなった場所に地下3階の施設が作られており、そこに入るまでの通路にはもちろん監視カメラやセンサーが備えられています。
その通路を抜けると、ようやく「Visa」のロゴがありました。さらに内部へと続く入り口部分はカードリーダーと指紋認証デバイスで守られています。従業員が内部に入るためには、まず社員証をかざし、続いて指紋の確認を済ませなければ、奥の扉が開かないようになっているのです。ここにも監視カメラがあり、監視者による顔写真チェックもしているということでした。
オペレーションセンターイーストに入ると、まずはオフィスエリアが広がります。このオフィスエリアにはネットワークオペレーションセンター、通称「NOC」と呼ばれる部屋があり、データセンター内を流れる情報を常にチェックしています。ここには世界各地から決済情報が飛んでくるので世界時計や世界各地のニュースが大スクリーンに表示されています。何か大きなニュースが流れると「お金」も動くからです。
さらに内部へと入っていきましょう。Visaのサーバールームは7つの「ポッド」と呼ばれる部屋で構成されており、それぞれのポッドは完全に独立した動きをしています。取材時には5つのポッドが稼働していましたが、それぞれ異なる電源系統、通信路、バックアップの発電機、ネットワークが用意されています。「このポッドはAT&Tの専用線、別のポッドはベライゾンの専用線を引いていて、万が一通信会社が大トラブルを起こしても問題なく処理ができます」とのこと。
案内されたポッドの内部は、一見、よくあるデータセンターの風景と変わらないのですが、よく見るとサーバーはどれも高性能で著名な企業の、かなりお高めなものばかりが並んでいます。サーバーの手前にはケーブルが整然と組み込まれたネットワーク機器、その次にはCPUが大量に組み込まれたサーバ、さらにはハードディスクを大量に組み込んだ記憶装置が並びます。
しかし、このプレスツアーでも見せてはもらえない部分がありました。それはコアになるネットワーク部分と、セキュリティ関連機器のあるエリア。完全にマスクされ、奥に何があるのかさえ分からないようになっています。それもそのはず。ツアーガイドいわく、侵入者にとって「どのベンダーの機器を使っているのか」ということが分かるだけでも攻撃のヒントになってしまうからです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング