インタビュー
» 2013年10月23日 07時52分 UPDATE

仕事をしたら“広告のツボ”が見えてきた(後編):日本企業の広告が、世界で評価されない理由 (1/5)

世界最大級の広告祭「カンヌライオンズ2013」のグランプリ受賞作をみると、ほとんどが欧米企業だった。なぜ日本企業の広告は評価されなかったのか。元『広告批評』編集長の河尻亨一さんに聞いた。

[土肥義則,Business Media 誠]

仕事をしたら“広告のツボ”が見えてきた: 

 1990年代の後半、日本ではこんなテレビCMが流行した。CMの最後に「つづきはWebで」という文言。そーいえば、そんな広告あったなあ、と思い出した人も多いだろう。しかし、海外の広告事情に詳しい人は知っていた。「つづきはWebで」という文言は、日本で放送される数年前に海外では当たり前のように流れていたことを。

 ということは、いま海外で展開されている広告は、数年後に日本にやって来るかもしれない。どんな広告が、世界で流行しているのだろうか。そこで広告事情に詳しい、元『広告批評』編集長の河尻亨一さんに、現在注目されている広告についてうかがった。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。全3回でお送りする。

 →注目されている「広告」にはワケがある――それは(前編)

 →ダヴとオレオはなぜ“ファンづくり”がうまいのか――2社に共通する巧妙な仕掛け(中編)

 →本記事、後編

※編集部注:本文に出てくる「広告」という言葉は、テレビコマーシャルやネット広告だけを指すのではなく、広報やカスタマーサービス、接客なども含めた大きな意味での企業の“ふるまい”、つまりブランドコミュニケーションのことを意味します。

河尻亨一(かわじり・こういち):

 銀河ライター主宰、東北芸工大客員教授、元『広告批評』編集長など。

 1974年生まれ、大阪市出身。早稲田大学政治経済学部卒業。雑誌『広告批評』在籍中には、広告を中心にファッションや映画、写真、漫画、Web、デザイン、エコなど多様なカルチャー領域とメディア、社会事象を横断するさまざまな特集企画を手がけた。

 現在は雑誌・書籍・Webサイトの編集から、企業の戦略立案およびPRコンテンツの企画・制作まで、「編集」「ジャーナリズム」「広告」の垣根を超えた活動を行う。カンヌ国際クリエイティブフェスは2007年、08年、10年、11年、12年、13年に参加している。


想像以上のスピードで変化

yd_kawajiri1.jpg 河尻亨一さん

土肥:前回、河尻さんからはこのような話がありました。今後、企業広告に求められるのは「ソーシャルグッド(社会によい行為をすること)」であると。世界最大級の広告祭「カンヌライオンズ2013」でもソーシャルグッドが含まれている作品が多かったそうですね。

 でもグランプリを受賞している作品をみると、ほとんどが欧米企業。残念ながら日本企業でこうした広告展開をしているところってあまりないような気がしています。その理由を教えていただけますか?

河尻:一般論としてですが、日本という国は、キャラをハッキリさせないカルチャーがありますよね。あいまいなことをよしとする、といった感じで。あまりにも強い個性で「自分はこういう者です!」といった人は、周囲に煙たがられる傾向さえある。そういう文化的なバックグランドがあるので、海外のグローバル企業がやっているような強固なブランディングを打ち出す企業が少ないのかもしれません。

 欧米ではキャラを明確にしないと通用しないわけです。自分たちの企業とは? 自分たちがつくった商品とは?――こうしたことをハッキリさせないと、ビジネスがやりにくくなるという側面があります。「ソーシャルグッド」は現代版のブランディングの側面があって、いわば企業のコミュニケーション戦略なんですよ。

 一方の日本はどうか。ブランディングがないとまでは言いません。ユニクロのようにシンプルで強いメッセージを発信して、グローバル進出をしている企業もあります。しかし全体的には、欧米企業に比べ“ぼんやり”していますね。

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