ダヴとオレオはなぜ“ファンづくり”がうまいのか――2社に共通する巧妙な仕掛け仕事をしたら“広告のツボ”が見えてきた(中編)(4/6 ページ)

» 2013年10月16日 08時03分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

河尻:「スーパーボウル (Super Bowl) 」ってご存じですか? アメリカンフットボールの優勝決定戦で、これには多くの人が注目していて、視聴率がものすごく高い。しかし2013年に行われたスーパーボールでは、停電が発生したんですよね。

 そのとき、Oreoの専門チームは絶好の機会ととらえ、スポットライトの当たったOreoの画像をアップしたんですよ。そこには「暗闇でもダンクする(Oreoをミルクに浸す)ことはできる」というキャプションが付いていました。

スーパーボール中に停電になったときには、スポットライトの当たったOreoの画像をアップした

土肥:停電したタイミングで、停電ネタですか。対応が速い。

河尻:このときすでにキャンペーンは終わっていたのですが、SNSチームは動いていて、スーパーボールの日もスタッフが待機していました。停電がなくても試合にちなんだネタを発信するつもりだったのでしょうね。まるで“スナイパー”ですよ(笑)。

土肥:上司に「この写真アップしてもよろしいでしょうか?」と聞いて、「ちょっと待ってくれ役員に聞いてみないと……」といった対応だととても間に合いませんね。

河尻:そんなことをしていたら、みんなが停電のことを忘れたころに、その写真をアップすることになりますよね。それでは話題にならないどころか、ドン引きですよ(笑)。

土肥:まずは「ハンコを押す」文化をなくさないといけない(笑)。

河尻:ですね。先ほど紹介したDoveのマーケッターはこのように言っていました。「いまの時代、カスタマーとコミュニケーションをとるためには、次の3つのことが必要だ。(1)本気の本物であること(2)関与してもらうこと(3)すぐにやること」だと。

土肥:日本企業の場合、(3)のところに「ハンコをなくす」を加えなくてはいけませんね(しつこい)。

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