なぜ豪華列車「ななつ星in九州」に傷がついたのか杉山淳一の時事日想(3/4 ページ)

» 2013年10月11日 08時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

運行開始前の値上げ検討、その真意は

 「ななつ星in九州」を値上げ――。これは10月2日に共同通信と日本経済新聞が報じている。もっとも高額な展望室付きの「DXスイートA」は現在3泊4日コースで1人当たり約56万円。これを来年7月以降、約77万円にしたいという。理由は「車両のできが予想以上に良かったから」とのこと。これはちょっと安易すぎないか。

 確かに「ななつ星in九州」の人気は上々だ。先ごろ抽選が行われた第3期においては、応募総数が1398件。募集枠に対して平均9倍の競争率だった。最高倍率は1泊2日コースの「DXスイートA」で、なんと97倍の競争率である。これだけの人気があれば、料金を上げても満席を維持できそうだと考えるだろう。

ななつ星in九州 DXスイートA、DXスイートB(出典:JR九州)

 しかし、3泊4日コースで77万円の料金は鉄道旅行の相場をはるかに超える。この値段を出すなら、他にもっと豪華で心地よい旅が視野に入る。豪華客船「飛鳥」の「秋の伊勢湾四日市クルーズ〜洋上で過ごす、夫婦の休日〜」は3泊4日の最高クラスで75万円。次位は42万円。「ニューイヤー香港クルーズ」は10泊11日で43万6000円から。JTBのチベット鉄道ツアーはビジネスクラス8泊9日で40万円前後だ。韓国のクルーズトレイン「ヘラン」は2泊3日で約20万円。スイスの氷河特急の旅は8日間で約33万円である。

ななつ星in九州の第3期、3泊4日コース(出典:JR九州)

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