河尻:ここまで3つの広告を紹介しましたが、少しおさらいしますね。本来広告には3つの機能があります。(1)商品・サービスを売るきっかけをつくる=販促・認知向上(2)企業のキャラクターをつくる=ブランディング(3)1、2の結果として現代を反映し、世の中の空気をつくる=時代批評性。
この機能自体はいまも昔も基本変わりません。しかし、メディア環境の変化を受け、そのための方法論が著しく変化しています。そして広告の世界でいま必要なのは、(1)双方向のストーリー(2)リアルな体験(3)ソーシャルグッド――この3つなんですよ。
特に今後注目されるのは、3つめの「ソーシャルグッド」。簡単に言うと「企業が社会貢献的な活動をする」ということですが、ここ3年くらいでそこへの関心がどんどん高まっています。
土肥:なぜですか?
河尻:マーケティングなどを手がけているミルワード・ブラウン社(Millward Brown)が調査を行い、こんな結果が出ました。「企業が社会的に無責任な振る舞いをしたら、その会社の商品はもう買いたくない」(93%)と答えた人は9割を超えました。
またソーシャルグッドをしている企業とそうでない企業の売り上げを調べたところ、ソーシャルグッドをしている企業のほうが「高い」というデータもあるそうです。こうした背景もあって、いま世界の広告業界ではソーシャルグッドが注目されているんですよ。このデータを丸ごとうのみにはできませんが、いまという時代を考えると象徴的ですよね。
土肥:昔の広告って、イメージ先行のモノが多かったですよね。「我が社の商品はこんなにスゴイ! だから買わないと、損するよ」といった感じで。でも、消費者もいつまでもダマされていない。「それ、ウソでしょう」といったムードが広がってきました。単純な広告がなかなか通じなくなったので、そうしたソーシャルグッドの意味を込めたモノが増えてきているのでしょうか。
河尻:ですね。
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