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» 2013年10月08日 08時00分 UPDATE

古田雄介の死とインターネット 一問一答:Q. 死後にお別れメールを送りたいんだけど……

死後に何かしらのメッセージを伝えられるサービスはいくつもある。ただし、絶対の確証はない。自分なりの作戦を立てておくことが肝心だ。

[古田雄介,Business Media 誠]

古田雄介のプロフィール:

1977年生まれ。建設業界と葬祭業界を経て2002年にライターへ転職し、テクニカル系の記事執筆と死の周辺の実情調査を進める。ネット上の死の現状をまとめたルポ『死んでからも残り続ける「生の痕跡」』(新潮45eBooklet)を各種電子書籍サイトで販売中。ブログは「古田雄介のブログ」。


A. 手段は複数あるが、確実性とタイムラグの問題をはらむ

死とインターネット お別れメールを送る手段におけるタイプ別傾向

 自分の身に何か起きたとき、「このメールが届くころ、私はもうこの世にいないでしょう……」といった文面を送る手段はいくつもある。ネットや手持ちの端末だけで完結したいなら、仕掛ける設定のタイプは「自動更新型」「手動更新型」「友人依頼型」の3種類だ。

 ネットにおいて、お別れメールを発信する専用サービスの大半は自動更新型となる。複数のSNSアカウントを監視して、アクセスが一定期間ないと警告メールをユーザーに発信。それでも反応がなければ、指定したアドレスにお別れメールを送るという流れがスタンダードだ。初期設定が済めば、あとは何も気にせずにネットを利用していればいい。手間はかからないが、数十日程度の猶予期間が必要になるため、葬儀や財産分与の希望など、死んだ直後を想定した文面には向かない。死後のさまざまな行事がひと通り済んだころ、誰かに気持ちを伝えたり、放置されたネット資産の処理をお願いしたりといった内容に適している。

サービスの例 生存確認 猶予期間
Proof of Life SNSログイン、メール 30日
PassMyWill SNSログイン、メール 非公開
Google アカウント無効化管理ツール Googleアカウントログイン、メール 90〜180日
ラストメール メール 3〜12カ月
2013年10月現在、無料で使えるお別れメール送信サービスの例。「ラストメール」のように定期的な生存確認メールのみを流すタイプもある
死とインターネット死とインターネット死とインターネット (左)Proof of Life。ユーザー登録してログインし、(中)TwitterとFacebookアカウントを連携させる。(右)お別れメッセージのアドレスを登録して文面を書くのはその後だ
死とインターネット Thunderbirdのアドオン「後で送信」を使ったお別れメールの例。自分の端末内で管理する場合、死後も誰かが端末を起動することが前提になる

 猶予期間を短めに設定したいなら、自動更新型の仕組みを作る手がある。日時指定で送信できるメールソフトやブログ、SNSの予約投稿機能、あるいは自作のプログラムなどを利用して、お別れメール(メッセージ)を現在から数日先に設定。生存していればその都度、送信日を先送りにするという流れだ。外部に頼らず自分だけで管理できるので、ライフスタイルにあわせて猶予期間を短めに設定することもできる。ただし、手間が膨大にかかるうえ、ミスするリスクも高い。自動更新型と比べて確実性も高くないので、他の手段が選べないときにのみ検討すべき手段といえるだろう。

 猶予期間を短くするなら、理解のある友人に協力を仰ぐほうが合理的だ。まだ選択肢は少ないが、生存確認チェックにアクセスログではなく、友人を使うサービスもある。典型例はFacebookの外部アプリ「if i die」だ。生前に指定した3人の友人が登録者の死亡を認定すると、あらかじめ用意していたお別れメッセージが登録者のページに公開されるというサービスで、有料オプションで個別のメッセージも送信できる。ただし、正しく機能するかどうかは友人の理解度や登録者との関係性にゆだねられる。

※注:誤発信とMAILER DAEMON対策は欠かせない

 お別れメール作戦で重要なのは、想定されるミスを徹底的に潰すことだ。手間のかからない自動更新型を選ぶ場合でも、すべてを外部サービスにゆだねるような使い方は危険だ。下記のように、いくつかの失敗が想像できる。残念な結果にならないようにサービスをうまく使いこなそう。

1. 存命中に誤発信される

死とインターネット PassMyWill.comから送られてきた生存確認メール。パッと見はスパムメールと区別がつかない……

 生存確認に登録しているSNSを使わなくなり、放置しているうちに猶予期間を過ぎるというパターンは今後増えると思われる。その場合も最終確認メールがユーザーの元に届くが、海外サービスの場合は英文になるため、メールソフトの初期設定で迷惑メールに振り分けられる危険が高い。

 自分がどんなお別れメールを登録しているか一生覚えておけるように工夫するのはもちろん、迷惑メールへの振り分け対策も打っておく必要がある。筆者の場合、先述のThunderbirdのアドオン「後で送信」を利用して、1年に1回、登録サービスの一覧情報が自分のアドレスに届くようにしている。サービス名で重要フォルダに振り分ける設定も施した。

2. 送信先に指定したメールアドレスが消滅する

 メールアドレスの寿命がそれほど長くないのは、多くの人が体験で知っていると思う。2003年に会った人と10年ぶりに連絡を取るときに、当時もらった名刺のアドレスにメールを送るだけで「絶対相手に伝わった」と確信する人はいないはずだ。何年、何十年も先に送信され得るお別れメールには、この例と同程度の不安が常につきまとう。せっかく心を込めて書いたのに、そのレスポンスが「MAILER-DAEMON」や「Mail Delivery Subsystem」といったエラーメールだけだったらあまりに悲しい。

 どれだけ用意周到にしても100%の確証は得られないが、確実に読んでほしいメッセージがあるなら、メインアドレスだけでなく、サブのWebメールなど複数のアドレスを登録しておいたほうがいい。また、送り先を複数人に指定すれば、アドレスも増えるし、送る相手が先に亡くなるというリスク対策にもない。

3. 提供するサービスが消滅する

 上で取り上げたお別れメールサービスも運営会社の方針転換や倒産などで突然提供が終了するリスクをはらんでいる。これに対処するには、相手先のメールアドレスと同じように、複数のサービスに登録してリスクヘッジするのが有効だ。

4. 相手に似た文面が大量に届く

 送り先のメールアドレスと各種サービスが実行時にしっかり残っている場合、2や3の対策は仇となる。これは避けられないので、せめて相手のことを考えて、すべてを同じ文面にしよう。そのうえで「いくつか届く可能性がありますが、すべて同じ内容なので、後は破棄してください」と冒頭に触れておけばいい。

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