就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。
使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。
クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』がある。
個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントにつらいです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
先週は、「転職するのは意外に大変なので、慎重に行動をした方がいい」という内容の原稿を遠回しに書きました(と、ここで白状してしまいました)。しかし、本当のことをいえば「自分の価値に自信がある人は、とても有利な条件で転職できる可能性がある」状況だともいえます。「人が採れなくて困っています」と、それこそ口癖のようにつぶやいている人事は、少なくないからです。「転職マーケットで十分に戦っていける、自分はできるビジネスパーソンだ」という人なら、安心して転職活動してください。
企業は人を欲しがっている、そして、転職したいけどできない人は少なくない。――このギャップは、なぜ発生するのでしょう? なかなか説明が難しい話なのですが、なるべく分かりやすく書いてみようと思います。ポイントは「顕在」と「潜在」の2つのキーワードです。転職したいので活動をしているという人たちを、転職マーケットでは「転職顕在層」と呼んでいます。この人たちの割合は、ホワイトカラーと呼ばれる業種でだいたい2割くらい。そう、職場に10人いたら、2割くらいの人は「転職したいな」と、転職サイトの会員になったり、人材斡旋サービスに登録したりしています。
2割という数字は、調査によって若干の上下はあるのですが、だいたいこのあたりという数字です。逆に、絶対に転職しない、今の職場でずっと働き続けると考えている人たちは、全体の一割だといわれています。これも調査によっては2割程度になるケースもありますが、だいたいそのくらいの水準です。
そして、残りの7割程度の人が「いますぐ転職したいと考えているわけではないけれど、いいところがあれば転職してもいいと考えている」という人たちです。この人たちを「転職潜在層」と呼んでいます。まあ、いいところという言葉の定義も曖昧ですし、転職してもいいという意思もぼんやりしているので、潜在層だとは言い切れない部分もあるのですが、便宜上、そう呼ぶことにしています。そして、人が採れない問題は「顕在と潜在」にあるのです。
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