世界唯一の超大国として世界を牽引しつつも、実際はかき乱しているだけの場合がほとんどになった米国は、影響力が低下したと言われ続けている。逆に中国は、経済的に世界第2位にまで成長し、そのカネを天然資源が豊富な途上国でばらまく上に、国連安保理の常任理事国でもあるために発言力も大きくなった。
この勝負、軍配が上がったのは中国だった。つまり、中国のほうが世界的に見れば嫌われている。圧倒的とはいわないまでも39カ国を対象に行われた調査で結果を見ていくと、米国を好意的に見ているのは全体の63%。中国を好意的に見ているのは50%だった。
ただし、内訳をみるとこの結果にも納得できる。中国にいい印象を持つ国は、パキスタン(国民の81%)、マレーシア(81%)、インドネシア(70%)、ケニア(78%)などだった。パキスタンはライバルの隣国インドと対抗すべく、インドと仲違いする中国と良い関係を築こうとし続けてきたため、両国間の行き来は頻繁だ。マレーシアやインドネシアなどは華僑が多く、中国とのビジネス的なつながりは切り離せない。ケニアには、中国はインフラなどに大金を落としている。
では米国はどうかというと、パキスタン、ヨルダン、エジプト、パレスチナ、トルコなどが米国を嫌っている。どれもイスラム教徒が多く暮らす国だ。パキスタンが米国を嫌う最大の理由は、オバマ大統領が就任時から対テロ戦争という名の下に行ってきた無人戦闘機による攻撃だ。無人機攻撃はテロ犯以上に、一般市民を巻き添えにする。しかも戦争状態でもない国で爆撃を行うというのは主権侵害だとも見られ、ずっと批判の的になっているのだ。
これまでに散々他国を爆撃しても世界の63%が米国に好意的なのは、やはり自由というイメージと、映画や音楽などのソフトパワーのなせる技だろう。ソフトパワーで米国に負けていない日本。それだけに、韓国嫌いのイメージで外交にも影響が出ているかもしれない、というのは少し残念な気がする。
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