南場智子さんが語る、意思決定のスピードが大切な理由『不格好経営』の著者が伝えたいこと(後編)(2/4 ページ)

» 2013年10月01日 00時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

早く実行したほうが“勝つ”

南場:意思決定のスピードはものすごく大切。いま言った組織の面もあるのですが、新規事業をやるかやらないかといった話であったり、戦略の方向性をA案にするのかB案にするのかといった話をポンポンと決めて、早めに実行したほうが“勝つ”確率が高くなるんですよ。

 DeNAはそんなにとんちんかんな集団ではないので、とんちんかんな話は出てきません。A案かB案かで迷っているときは、どちらもいい案。とんでもないX案とZ案はすでに排除されているんですよ。そういう環境の中での選択なので、AかBかを先に決めて、すっと動き出したほうが“勝つ”確率が高くなる。もちろん真実は分かりません。Aを選んだものの、実はBのほうがいいのかもしれない。でも1週間先にBを決めるよりも、早くAと決めて今日から動く。できるだけ早く動いたほうがいいですね。

 あと、いまある情報で「どちらがいいのかなあ」とネチネチやっていても、あまり意味がないですね。実際に事業を始めてから、本当に必要な情報が集まってくることが多いんですよ。事業を始める前には思ってもみなかったハードルが現れてきて、「それまで集めてきた情報は一体なんだったんだ?」ということもかなりありました。ですから早く動き始めたほうが勝ち――というのは会社の鉄則でもありますね。

――A案かB案かで迷っているときに「実はC案もD案もあって迷っている」といっことは言わないですか?

南場:起業をしたころは「すごく僅差で迷っていて……みんなで議論しようよ」といったことを言っていました。しかし過度な民主主義的な意思決定というのは、ときにチームの力を弱めることがありました。新しい事業を始めると、どの案を選択しても必ずものすごい大きな壁が現れる。そうしたことに直面したとき、過度な民主主義で決めた案では、組織が萎えてくることがあるんですよ。

 特にあってはならないことは、「やっぱりB案にしたほうがよかったかなあ」と言うこと。これを言ってしまうと、組織は急に失速してしまいます。「『A案にする』と決めたら、これしかない!」といった感じで、気持ちを高めていったほうが壁を打ち破るエネルギーになりますからね。

会場には200人以上が詰め掛けた

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