転職が大変になっている――転職したい人が対処すべき2つのポイントサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)

» 2013年09月30日 07時59分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

何十年も同じプロセスで採用は行われている

(写真はイメージです)

 こう書いてしまうと「送られてきた履歴書の中身がたいしたことないヤツが多かったって話ではないのか」という声が聞こえてきそうです。まさにその通り。私も以前、選考に立ち会う機会があり多数の履歴書に目を通しましたが、ほとんどの履歴書はハシにも棒にもかからないものでした。履歴書の隅に小さくバツ印が鉛筆で付けられたものを見たときには、力が抜けたことを覚えています。そう、他社の採用担当者が不合格と印をつけ、返送された履歴書をそのまま送ってきたのです。

 書類選考という難関を通過した転職希望者が、次に挑むのが面接です。「何を当たり前のことを書いているのだ」と思われるかもしれませんが、そう、人を採用するために選考する仕組みは、もう何十年も変わっていません。履歴書を中心とした書類選考、適性検査や実技試験など能力を計るテスト、あとは面接。もう何十年も同じプロセスです。

 ただ、面接も以前と比べ難易度が上がっています。かつては、人事とその応募者が働くと想定されている職場の上長が同席した面接1回、もしくは社長や役員の面接の2回程度が転職時においては一般的でした。しかし、今や面接2回だと「少ない」といわれるほど、まず回数そのものが増えています。現場の担当者が会う、現場のリーダーが会う、さらに現場の責任者が会う、そして役員が会う、最後に社長が会う、これで5回。こんな採用プロセスが普通になっています。

 さらに厄介は続きます。面接の回数を重ねるほど、相手の地位が上がりますから、スケジュールも混んでおり、なかなか調整が難しい。待たされる時間が長くなってしまって、転職期間も長くなってしまうケースもざら。何度も呼ばれるくらいだからと応募者は手応えを感じていても、最終で経営陣と話が合わなくて、あっさりと「お祈りメール」(参照記事)が届いておしまい。今までの時間を返してくれと怒りたくなる展開も、日常茶飯事なのです。

中小企業ほど難易度が高くなる転職のカラクリ

 ここまで読んで、「何度も面接に呼ぶのは大企業だけだろう?」と思っている人もいるかもしれませんが、逆です。ベンチャーから中堅へと脱皮しようと考えている企業ほど、面接の回数は多いかもしれません。理由は簡単です、少ない人数の企業であればあるほど、採用には慎重になるからです。

 例えば、5000人の従業員がいて、7つのセクションのある企業があるとします。ここでは1人採用して、ある部署で「合わない」と判断されても、別のセクションに移すことが可能です。人が辞めるということは、企業にとっても重大な損失。できれば辞めてほしくない。当然の措置です。しかし、従業員50人、部署が2つという企業ならどうでしょう。慎重にならざるを得ません。

 さらに問題は続きます。これも規模が大きくない企業によく見られるのですが、現場に権限が移譲されていないケースでは、事前のスクリーニングや動機付けは、ほぼ無意味です。ここで少し余談ですが、面接の役割には「アセスメント」と「動機付け」の2つがあるといわれています。アセスメントは文字通り「選考」で、ふるいにかけること。そして動機付けとは、その企業に「入社してもいい」と思わせるよう、自社の好感度や仕事の魅力をアピールすることです。面接のやり取りの中でこれをしっかりとやっていないと、次の選考に呼んでも辞退されたり、内定を出したとしても承諾率が下がったりするのです。

 しかし、一生懸命動機付けをしても、最終面接を行う人物の腹一つですべてが決まってしまう場合、それらが無になってしまいます。採用担当者も応募者もかかわる人すべてが疲弊してしまう状態が、目に浮かぶようです。

 ほかにもいろいろ問題があるのですが、ここでいったん、やるせない話は止めにして、こんな状況の中で、「転職したい」と考えている人が取るべき行動はなにか、少し考えてみたいと思います。

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