コラム
» 2013年09月27日 07時00分 UPDATE

JASRACに聞いてみた:有名アーティストの動画をブログに埋め込んだら使用料を請求されるのか? (3/4)

[山崎潤一郎,Business Media 誠]

アフィリエイト収入があっても個人が利用する分には目くじらは立てない

 筆者には、かねてよりもう1つの疑問があった。YouTubeやニコ動には、有名曲をカバーした「歌ってみた系」「演奏してみた系」の動画がたくさんある。JASRACが管理する有名楽曲であれば、ユーザーは無許諾で自演作品を投稿できる。YouTubeやニコ動側とJASRACが包括的な利用契約を結ぶことで可能になった仕組みだ。

 では、投稿は無許諾でもOKだが、このような動画を外部サイトに埋め込むことについては、どのように解釈すればよいのだろうか。アマチュア作品とはいえ、「友達」にも紹介したくなる秀逸な作品を多数みかけるので大いに気になる。それに、楽器を演奏する筆者自身も、自ら演奏してYouTubeに投稿したものを自分のブログやFacebookに埋め込んで「友達」に見てもらっているからだ。

 そこで、冒頭のJASRACへの電話でこの件も聞いてみた。

  • サイトが非商用であれば、ブログやソーシャルメディアでの利用はJASRACの許諾不要
  • 企業やネットビジネス系のサイトは、商用利用なのでJASRACの許諾が必要
  • 個人ブログであってもアフィリエイトを行なっていれば、広告収入があるので、商用と見なしJASRACの許諾が必要

 またまた、がくぜんとした。「俺って、アフィってる自分のブログで動画を無許諾でがんがん貼り付けてたし……」と。

 ただ、いろいろな疑問が立て続けにわいてきた。例えばココログやアメブロなどで無料ブログを開設すると本人の意志とは無関係に広告が挿入される。あるいは、Facebookにしても同じだ。PCでアクセスすると右側のコラムには常に広告が表示されている。そのような場合も商用利用と見なされ許諾が必要なのだろうか。

 この件についても小島氏に確認してみた。ブログサービス等で本人の意志とは無関係に広告が挿入されるものについては「個人に広告収入がなければ商用とは見なさない」とのこと。つまり、無料ブログの記事に強制挿入される広告から得られる収入はすべて事業者に入るので、この場合は許諾不要で利用できる。

 ただ、個人サイトやブログなどでアフィリエイト収入がある場合は、商用と見なされ許諾が必要になり使用料の支払いが生じるのは本当だろうか。「原理原則論からいえば、個人でも広告収入があれば許諾は必要。問い合わせの窓口で、アフィリエイト収入=商用と判断するのは当然」(小島氏)とキッパリ。

 ただ、小島氏は、少しばかりの苦悩をにじませながら、原理原則から離れた部分で、現実に則した見解を示してくれた。

 「今や多くの個人サイト、ブログがアフィリエイトを導入している。有名曲の歌ってみた系動画が埋め込まれているからといい、それらすべてに対しダメ出しするのは非現実的な話だ。あまりに派手にやっているのは問題があるが……」

 「動画サイトの利用者が増加し、アーティスト側からすると動画サイトがプロモーションの場として利用されている昨今、権利者、投稿者、動画サイト、JASRAC、動画利用者と、それぞれにメリットがもたらされるエコシステムが形成されている。白か黒かで一刀両断に断ずることはできない」

 小島氏はこれ以上の明言は避けたが、筆者はこのコメントを次のように解釈した。有名曲動画をがんがん埋め込んで、明らかにアフィリエイトで稼ぐことを目的とした「派手」な使い方をしない限りは、目くじらは立てないということのようだ。確かにアマチュアの作品であっても優れたパフォーマンスに接すると、「原曲を聴いてみたい」と思うこともあるわけで、そのような拡散効果に期待する権利者も増えていることは想像できる。

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