さて半沢直樹が勤務している支店の支店長は、株に手を出して損失をふくらませます。はじめ少し儲かったために深みにハマり、何千万もの借金が……というよくあるパターンです。その穴埋めのため、昔からの知り合いのオーナーに融資し、その金の一部を自分の口座に還流させます。
これは明らかな背任行為です。つまり任務に背く行為をする、信頼を損なうということで、英語では「breach of trust(ブリーチ オブ トラスト)」といいます。背任とくれば横領がつきもの。横領は「embezzlement(エンベゼルメント)」といいます。まあ、あまり覚えなくてもいい英語ですが。
もう少し実際の役に立ちそうな英語をみてみましょう。「融資をする」は、一般的には「lend money(レンド マネー)」ですが、規模が大きくなると「finance(ファイナンス)」を使います。借りる側からすれば「loan(ローン)」です。住宅ローンなどと使うあの単語は、企業の借り入れにも使われます。
『半沢直樹』は、本人を含め同期の何人かが上司や役員からの嫌がらせやいじめ、新人時代のノルマの強制、左遷人事などに、果敢に挑んで「倍返し」をしていく物語です。その底流には、1980年代の最後、まさにバブル絶頂期に入社(入行)したのはいいものの、その後は停滞と下り坂しか経験してこなかったこの世代の、先行世代(preceding generations:プリシーディング ジェネレーションズ)への反発があります。
年齢が上だからという理由で自分たちの上席を占め、いい思いをしている先輩たちへの複雑な思いがあるわけです。確かにこの20年余り、この世代はあまりいい目にあってきませんでした。同期会をやっても『半沢直樹』に出てくる近藤という人物のように、すでに出向させられていたり、上のポストが空いていなくて閉塞感にさいなまれたりしているのがこの世代なのかもしれません。ロストジェネレーションと呼ばれるゆえんです。
ところで英語には、同期という概念をそのまま表せる表現はありません。日本語から英語への翻訳サイトを見てみても、英辞郎では「senior associate」とか「senior fellow」といった苦しい説明英語を当てています。
どちらを使っても米国人はきょとんとするだけでしょう。年齢の上下関係では日本人と多少共通感覚をもつ英国人なら、ニュアンスくらいは分かるかもしれません。同じ学校や職場でのシニアな人という感覚です。シニアという言葉には、年齢と在職年数という感覚の両方があります。
また、「後輩」という日本語も同じく英語になりません。無理やり「Juniors(複数形)」などという英語を当てているものがありますが、あまりピンと来ません。
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