TPP反対だからってホント? 東京地検特捜部が徳州会を狙う理由窪田順生の時事日想(1/3 ページ)

» 2013年09月24日 07時30分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


負け戦をひっくりかえすために、投票箱が捨てられたこともある

 医療法人「徳州会」グループの公職選挙法違反容疑で、東京地検特捜部が徳田毅衆議院議員の事務所を捜索した。

 マスコミは、「理事長一族の強制的な動員など、過去に例のない組織的な選挙違反の疑いがある」なんて鼻息が荒いのだが、個人的には、そんなに大騒ぎするようなことかしらと思う。

 もう10年ぐらい前になるが、鹿児島県徳之島に「選挙賭博」の取材に行ったことがある。

 奄美群島では過去、市長選やらの選挙賭博でよく逮捕者が出た。やり方は簡単で、自分が推す候補者に賭ける。“勝ち馬”にのれば大もうけできるだけではなく、公共事業の口利きという甘い汁も吸える。だから死にものぐるいで応援をする。知人や親戚を投票させるぐらいならかわいいもんで、時には現金も飛び交う。さらに、負け戦をひっくりかえすため投票箱が捨てられたこともあった。実際に賭博に関わった方たちにその実態をうかがって、まるでフィリピンとか南米の選挙のようだと驚いたのを覚えている。

 そんな「選挙賭博」が激しくなったきっかけが、「徳州会」だ。1983年、「徳州会」理事の徳田虎雄が初出馬して、当時絶大な勢力を誇った自民党の保岡興治と激しく対決。選挙違反の逮捕者が続出し、その激しい誹謗中傷合戦や運動員の買収などから「保徳戦争」といわれるほどだった。そういうラテン系選挙の地盤を譲り受けたのが、虎雄の息子である毅だ。

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