なぜ就活生はバイト経験をアピールし、人事はそれを無視するのかサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)

» 2013年09月23日 10時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]
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人事がアルバイト経験を無視し続ける単純な理由

 かつてある就活生向けの情報誌を読んでいたとき、「アルバイト経験をアピールする学生をどう思いますか?」という学生からの質問に対して、有名企業の人事が「アルバイト経験は仕事にはまったく役に立ちません。そんな経験は捨ててもらっていいし、バイト感覚で仕事に就かれては迷惑だ」と話している記事を見たことがあります。それを読んで「この人、大丈夫なのかな」と、他人ごとながら私は心配してしまいました。なぜなら、それが就活生と人事の「アルバイト経験」における意識のギャップの正体だからです。

 企業の採用基準における重視項目をもう一度見てみましょう。最も多いのが「人柄」、次いで「自社への熱意」「今後の可能性」と続きます。就活生が1位と3位の項目に関して直接的に話をして、アピールするのはとても難しいことはお分かりでしょう。就活生に限らず、社会人でも、そうそう自分の人柄やポテンシャルを上手にPRできる人は少ないでしょう。そして、企業もそのことをよく知っています。だからこそ、就活生が話す「アルバイト経験」や「所属クラブ・サークル」の話に耳を傾け、その中から「人柄」や「今後の可能性」を見極めようとしているのです。

 「だったら、このデータにギャップはないじゃないか」という声が聞こえてきそうです。しかしここには、見逃しがちな大きな落とし穴が存在します。

 就活生が「人柄」をアピールするために「アルバイト経験」について話をしたと自覚していれば、アピールした項目はアルバイト経験ではなく、人柄ということになります。しかし、アルバイト経験を通して人柄や可能性をアピールしているという自覚がない場合、アルバイト経験が評価されると思い、それをアピールするということになってしまいます。アルバイト経験の経験を評価して欲しいと話をされるのと、アルバイト経験を通して人柄やポテンシャルを測って欲しいと話すのは、似て非なるものであることは、ベテランビジネスパーソンなら自明の理ですよね。

 ささやかな話のような気がしますが、就活生が混乱に陥ってしまう原因というのは、その程度のことがキッカケでもあるのです。しかし何年経っても、そのギャップは解消されていない。その責任はどこにあるのか、少し考える必要がある時期に来ているのだろうと、連休中で普段よりアクセスが少ないタイミングなのに乗じて、コッソリと書いてみるのです。

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