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» 2013年09月19日 06時00分 UPDATE

伊吹太歩の時事日想:日本人も要注意、集団レイプ判決から見るインドの闇 (1/4)

最近、インドで発生する集団暴行事件のニュースを日本メディアも取り上げるようになった。事件の背景を追ってみると、根強く残る女性差別が浮き彫りになる。

[伊吹太歩,Business Media 誠]

著者プロフィール:伊吹太歩

出版社勤務後、世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材、夕刊紙を中心に週刊誌「週刊現代」「週刊ポスト」「アサヒ芸能」などで活躍するライター。翻訳・編集にも携わる。世界を旅して現地人との親睦を深めた経験から、世界的なニュースで生の声を直接拾いながら読者に伝えることを信条としている。


インド (写真と本文は関係ありません)

 2012年12月、インドで集団レイプ事件が発生した。凶悪なこの事件の概要はこうだ。映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』を見たカップルが、夜に乗り合いバスのような「個人バス」を拾って帰宅しようとした。すると車内で6人の男たちにカップルは暴行を受ける。男性は鉄パイプなどで殴られ、女性は45分にわたりスモークガラスが張られた車内で暴行された。カップルはバス停で解放されたのだが、意識不明となっていた女性は約2週間後に死亡した。

 この痛ましいレイプ事件の教訓から、インドは少しでも安全になったのだろうか? インドに根深くある女性蔑視が改善する様子はあまり見られず、インドの政治は、ことに治安政策に関して無茶苦茶なまま。残念ながらインドが安全になったとは言いがたい状況だ。

暴行事件から3カ月で女性観光客は35%減

 この事件以降もインドでは欧米人の女性が集団でレイプされる事件が何件か発生した(というより事件以前も頻発していたが)。大々的に世界で報じられた影響もありインドでは観光客が激減する。事件後3カ月ほどで観光客数は25%減り、女性観光客は35%減になった。観光客が2012年には180億ドルを生んだことを考えればインド経済にとって痛過ぎる代償だ。

 こうした経済的な実害と高まる国民の不満により、インド議会は事の重大性を認識し、性犯罪に関する刑法を厳格にする改正を行った。レイプ被害者が死亡または再起不能になった場合の最高刑を死刑にしたのだ。冒頭で取り上げた事件の犯行グループも2013年9月13日、強姦や監禁、殺人などの罪で死刑を言い渡された。

 だが現実には、こんな動きを冷めた目で見るインド人も少なくない。刑法改正などを議論するインド議会の議員はそもそも犯罪者だらけだからだ。

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