シリアは化学兵器を差し出すのか? それでも内戦は終わらない藤田正美の時事日想(1/3 ページ)

» 2013年09月11日 06時00分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


G20 G20

 本来は経済問題を話し合うはずだったG20首脳会議だが、シリア問題に時間を取られて、とうとう大した成果もなしに終わった。シリアの現政権を支持するロシアや中国は、国連安全保障理事会の決議なしに軍事攻撃をすることに明確に反対した(自分たちは安保理で拒否権を行使できる立場にあるから、要するに攻撃させないということだ)。

 欧州も米国を支持するフランスや英国に対して、ドイツは慎重な姿勢を崩さなかった。軍事的に解決することより、政治的に解決すべきだとメルケル首相は語った。9月22日に選挙を控えているため、国民に不人気な政策はとりたくないのが透けて見える。シリア問題に関してできるだけ目立たないように、「国際合意が必要だ」という建前論に終始しているのはそのためだ。

 もし多くの国が反対しても、オバマ大統領はシリアを攻撃する気があるのか。大統領は9月10日に国民に向かってシリア攻撃の必要性を説明、連邦議会は週末にかけて大統領の決断を支持するかどうか態度を明らかにする予定になっていた。上院の外交委員会はすでに大統領を支持している。

 そこに飛び込んできたのがロシアによる「化学兵器を国際管理下に置く」という提案だ。これはケリー米国務長官が「アサド政権が化学兵器をすべて差し出せば攻撃は行われない。ただアサド大統領にその気はないだろう」と語ったのがきっかけとなっている。オバマ大統領もラブロフ・ロシア外相の発言を受けて「事態を打開する可能性がある」と評価した。

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