興味深いデータを見つけたので注目してみましょう。これは、リクルートキャリア・就職みらい研究所が発表している「就職白書2013」の中にあるデータです。応募してきた学生への企業の評価と、学生の自己評価を比較した表で、その差異を見ていると、いろいろなことに気がつくでしょう。
例えば「働く意欲」という項目では、企業に学生に対する評価よりも、学生の自己評価が少し低くなっています。素直にデータをながめると、学生は働くということに自信がない、けれども、企業はその不安のようなものをあまり感じていない、とも解釈できる数字です。自己分析に関しても、学生の自己評価は辛めですが、企業はそれほど不足しているとも感じていない。そう考えれば、学生は自分が取り組んでいる就職活動にもっと自信を持ってもいいのかもしれない、そう思わせるデータになっています。
一方で、業界研究や仕事・職種研究、企業研究に関しては、学生も足りないと認識していると同時に、企業も少なくとも十分に行っていると評価はしていないという状況がクッキリと浮かび上がっています。先ほどの「こんなはずじゃなかった」というボヤキの原因は、どうやらここにありそうです。
業界研究に関しては、ある時期になると書店に大量に「業界研究本」と呼ばれる図解本が並びます。どの業界はこういう構図になっていて、それぞれの企業のシェアや資本などの関係性など、コンパクトに分かりやすくまとめられているものも少なくありません。仕事や職種を調べようと思えば、それこそ就活支援サイトには山のように情報はありますし、そこに掲載されている「働く人たちの声」を読んでいるだけで、就職活動期間が終わってしまいそうなほどの量が提供されています。しかし、実際には、企業は学生に対して、業界、仕事、職種、企業への理解が不十分だと評価し、就活生も同じ部分に不安を抱えている。その原因は、次のデータである程度、類推することができます。
上のデータは、企業が採用広報活動をする時期を表しています。俗に就職協定とも呼ばれている倫理憲章のからみで、企業の採用広報活動は毎年後ろ倒しのスケジュールになっています。したがって、採用広報活動を早いタイミングから長い時間をかけて行うことができません。詳細は記事末にリンクを掲載しておくので、後ほどそれを見てもらうとして、まずはグラフを見てください。グラフの山が、ある時期に集中していることが一目瞭然です。下のデータは、採用選考に関する時期を表しています。こちらも平均化されることなく、極端なピークがあることが分かります。
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