どうしてみんな転職しないんだろう?――ハフィントンポスト日本版の松浦茂樹編集長働くこと、生きること(前編)(1/2 ページ)

» 2013年09月06日 08時00分 公開
[印南敦史,Business Media 誠]

働くこと、生きること:

 終身雇用が崩壊し、安定した生活を求め公務員、専業主婦を目指す人が一定数いる一方、東日本大震災などを経て、働き方や仕事に対する考えを大きく変えた人は多く、実際に働き方を変えた人も増えている。仕事一辺倒から、家族とのかかわり方を見直す人も多くなっている。

 さまざまな職場環境に生きる人々を、多数のインタビュー経験を持つ印南敦史が独自の視点からインタビュー。仕事と家族を中心としたそれぞれの言葉のなかから、働くとは、生きるとは何かを、働くことの価値、そして生きる意味を見出す。

 この連載『働くこと、生きること』は、2014年にあさ出版より書籍化を予定しています。


印南敦史(いんなみ・あつし)

 1962年東京生まれ。ライター、編集者、コピーライター。人間性を引き出すことに主眼を置いたインタビューを得意分野とし、週刊文春、日刊現代、STORYなどさまざまな媒体において、これまでに500件におよぶインタビュー実積を持つ。また書評家でもあり、「ライフハッカー」への寄稿は高い評価を得ている。


働くのは、小さいころから自然な成りゆきだった

 「語るべきことがある人たち」の発信の場として、5月7日にスタートした「ハフィントンポスト日本版」。編集長である松浦茂樹さんは、幼いころから無意識のうちに「働く」ことの意義を感じていたという。

 「両親が共働きだったので、小学校1年生ぐらいのころから親が日中、家にいたあまり記憶はないんです。ただ、そんな環境だったからこそ、バリバリ働く両親の背中を見ることによって感じたものはあったと思います。父親は引退しましたけどアルバイト自体はしてますし、母親は60歳を超えた今も営業ウーマンとして働いていますから」

 そんな影響もあってか、自身も中学生時代から「当然のこと」として新聞配達のアルバイトをしていた。

 「小遣いをもらうかわりに、自然な成りゆきとして自分でお金を稼いでいただけです。そのことが厳しいとは思わなかったし、むしろ当たり前というか。ですからそのとき以来、就職するまで、アルバイトでお金を稼いでいなかった時期はほぼありませんでした。働くことに疑問を持ったこともなかったですね。泥くさく生きてきた人間なんです」

 大学卒業後はシステム開発の会社に入社し、大手自動車会社の宇宙開発事業部に派遣され、そこで人工衛星のシステムエンジニアを担当した。

 「そこで1年働いてから、以後は依頼を受けて日本全国にWebサーバやメールサーバを作ったり、今で言うアドミニストレータ的な仕事をしていました。でも、アドミニストレータってトラブルがなければ暇なんですよ。結構暇な時間が多くて、そのまま腐っていくのもいやだったから辞めて、派遣会社経由でシステム営業をやったんです。半年後、その会社から入社しないかと誘われたんですけど、そこには発展性がなさそうだったから断って、3カ月くらいの無職期間を経てWebの制作会社に入りました。そこでWebディレクターの真似事を覚えて、そのあとライブドアに入ったんです」

ハフィントンポスト日本版の松浦茂樹編集長
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