松坂大輔がどんなに落ちぶれても「メジャー」にこだわる3つの理由臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(3/3 ページ)

» 2013年09月05日 06時30分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]
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一獲千金は妻と3人の子供のため

 そして、もう1つ。松坂がメジャーリーグでのプレーを望む理由は「米国に残留しながら一獲千金のチャンスがある」からだ。確かに日本球界Uターンを決意すれば、前出のオリックスやDeNAなどが提示するとみられる「年俸1億円」を手にできるだろう。とはいえ、その後はどんなにいい成績を残したとしても大幅な上積みはまず望めそうもない。

 「仮に松坂が日本でそれなりの活躍を果たしたとしても、日本の球団は前年比で彼の年俸を数千万円程度アップさせるぐらいだろう。日本の多くの球団には『メジャーリーグからUターンした選手の年俸はアップ率が低い』『野手と違って投手には高い年俸を払わない』などという不文律があるからだ」(球界関係者)

松坂大輔 松坂大輔のTwitter。2013年8月22日にはメッツの帽子の写真とともに「正式にニューヨーク メッツと契約しました。明日のデトロイト戦に先発します」とコメント

 日本では、どんなに頑張っても手にできる年俸は1億円強。だが選手との契約に「完全実力主義」を反映させているメジャーリーグの球団であれば、その後の活躍次第で青天井のごとく年俸が跳ね上がる可能性がある。球団との契約の時点で盛り込んだインセンティブの条件をクリアすれば、さらなる上積みも得られることになるから、なおさらだ。

 「大輔はボストンの自宅に妻と3人の子供を残し、ニューヨークに単身赴任している。妻の倫世さんは3人の子供に全米でも屈指の学術都市であるボストンで英才教育を受けさせる方針を固めていて『子供たちのためにもできることならば、米国のメジャーリーグでプレーしてほしい』と夫の大輔に要望しているのです。3人の子供はいずれもボストンのセレブの子たちが通うプレスクールに通っていて、習い事などの費用も含めれば1人年間で少なくとも約7〜8万ドル(700〜800万円)もの養育費がかかる。

 大輔も姉さん女房の倫世さんには頭が上がらないところがあるから、米国での生活費と3人の子供の養育費を捻出するため、努力次第では日本以上に大幅な年俸アップが望めるメジャーリーグでのプレーを熱望しているのです。まあ、今の大輔の力ではそれも難しいのかもしれないけれど……。でも、彼は『可能性がある限り、頑張って米国でビッグマネーを稼ぎたい』と言っていましたしね」(松坂に近い関係者)

何だか身につまされる思いがする

 こうした背景を考えると松坂家はなんだかカカア天下で、家庭内での松坂はうだつの上がらない亭主のような存在にも思えてしまう。メジャーリーグでプライバシー侵害による閉塞感を覚えずに「『エンジョイ』できている」と言ったのも、日本に戻ることになれば写真週刊誌から何かとターゲットにされやすい「ママタレ」の倫世夫人の機嫌を損なう心配がないからなのかもしれない。いずれにしても世のビジネスパーソンの中には、妻の前では平身低頭の松坂の姿に「まるでわが家みたいだなあ」と共感を覚える人も多いのではないだろうか。

 9月13日に33歳となる松坂は、気が付けばベテランと呼ばれる立ち位置になった。ここまで続く不振を見る限り、もしかしてメスを入れた右ひじは全盛期のように復調しないのかもしれない。それでも、まだまだ老け込むような年齢ではないはずだ。家庭を支えるビジネスパーソンの星・松坂には困難を乗り越えてメジャーリーグでの復活を果たし、心の底から「この環境は何物にも代え難い」とあらためて力強く言い切ってもらいたいものである。

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