米国がシリアを攻撃すれば日本経済にも影響が出る藤田正美の時事日想(1/3 ページ)

» 2013年09月04日 06時00分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 すぐにでも始まりそうだった米英仏によるシリア空爆。英国では、議会の拒否という予想外な事態となり、キャメロン首相は英軍による攻撃を諦めた。フランスのオランド大統領は、世論の動向を見極めながら攻撃に参加するという姿勢を崩していない。しかしフランスでも不人気な政策であることに変わりはなく、米国単独の攻撃になる可能性もある。

化学兵器を使ったのは誰なのか?

オバマ オバマ大統領

 「米国はシリアを攻撃しなければならない」と表明した米国のオバマ大統領も、攻撃そのものは極めて限定的で懲罰であることを強調している。地上軍を送ることは考えていないし、ほんの数日で終わるものということも明らかにした。さらにオバマ大統領は議会に承認を求めると語った。議会は9月9日に招集されるので、そこで採決されることになる。統合参謀本部がオバマ大統領に対して、「時間的な要素はあまりない。今でも1週間後でも、1カ月後でも大丈夫だ」と言ったことも明らかにされた。

 シリア国内で化学兵器が使用されたことは間違いないようだ。ケリー国務長官は「米国が独自に入手した血液と髪のサンプルからサリンガスを検出した」とCNNに語っている。しかし誰が使ったのかということになるとはっきりしない。これまで米国は、「一線を越えない限り、米軍が介入することはない」というメッセージをアサド大統領に送ってきた。

 その条件の1つが大量破壊兵器(今回の場合は化学兵器)の使用である。アサド政権は、反政府派の分裂もあって、最近は内戦で優位に立っている。それなのに、自分たちの政府を転覆する能力を持っている外国勢力とりわけ米国の介入を招くようなまねをするだろうか。そう指摘する中東専門家もいる。だから反政府勢力の「陰謀」という見方も出ている。しかしシリアの反政府勢力が化学兵器を扱える能力があるのかどうか、ということになるとこれもいまひとつはっきりしない。

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