エアアジア・ジャパン、不振の原因は何だったのか?INSIGHT NOW!(1/3 ページ)

» 2013年08月29日 06時45分 公開
[日沖博道,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:日沖博道(ひおき・ひろみち)

パスファインダーズ社長。25年にわたる戦略・業務・ITコンサルティングの経験と実績を基に「空回りしない」業務改革/IT改革を支援。アビームコンサルティング、日本ユニシス、アーサー・D・リトル、松下電送出身。一橋大学経済学部卒。日本工業大学 専門職大学院(MOTコース)客員教授(2008年〜)。今季講座:「ビジネスモデル開発とリエンジニアリング」。


エアアジア・ジャパン エアアジア・ジャパン

 LCC3社のうち、全日空子会社で関西空港を拠点とするピーチ・アビエーションが最も好調で、就航から6月までの平均搭乗率は78%と国内トップを達成した。もっとも、この搭乗率でもまだ赤字であることから、LCCが搭乗率8割程度を要するシビアなビジネスモデルであることが分かる。同社は2014年3月期に(当初計画よりは前倒しで)営業黒字達成を視野に入れている。

 ジェットスター・ジャパンも健闘している。先日の発表では、就航1年余りで総搭乗者数が200万人を超えた。同社は2012年7月に成田−札幌、成田−福岡線を開設。中部や関西へも路線を拡大し、現在13路線で1日70便が運航中だ。1年間の平均搭乗率は72%になる。

 それに対しエアアジア(マレーシア)と全日空の合弁だったエアアジア・ジャパンは、2012年8月の運行開始後、成田をベースに新千歳、福岡、那覇を結ぶ3路線に、中部空港をベースとする2路線などを加えた。しかし報道によると2012年度の搭乗率は国内線では63.9%、国際線では61.9%と苦戦中である。

バニラ・エア バニラ・エア

 このせいで同社は最近合弁を解消し、全日空の100%子会社になった。2013年11月からは社名を「バニラ・エア」に変更する。新会社は当面は成田発着に集約し(中部空港からは撤退)、国際リゾート路線に特化する戦略を採るそうだ。

 この件については小生も興味があったため、これまで時折論じてきた。不可思議なのは関係者が語るエアアジア・ジャパンの苦戦の真の理由である。

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