ただ日本の場合は、戦時の「遺産」であることで問題になる可能性もある。日本を象徴する零戦が、「諸外国」を刺激するかもしれないからだ。安倍晋三首相が就任し、中国や韓国などから日本社会の右傾化が指摘される現在、戦時の象徴的な戦闘機を帰国させることには賛否があるだろう。だが純粋に日本人の作り上げた当時斬新だった飛行機として、日本人がその偉業を讃えることは何ら悪いことではない。
そんな課題もある中での「里帰りプロジェクト」だが、実はごく最近になって、里帰りに向けた風向きは変わりつつある。2013年10〜12月に、その零戦が一時帰国する可能性が出てきたのだ。東京にある水産航空の協力や、資金面での協力者にある程度、目処が付いたからだ。
日本を代表し、歴史的にも価値のある零戦の帰国は、日本政府が率先して支援し、実現させるべきだと思わずにはいられない。もちろん周辺国からのプレッシャーで難しいだろうが、そんな日本の現状もまた、零戦がなかなか帰国できないのと同じように悲しい。
重く濃い緑色のボディに真っ赤な日章。まるで丸い筒のような機体が、高速で小回りをきかせながら、日本の空を飛ぶ姿を見たいものだ。
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