あなたは騙され続けるのか? 生きづらい世の中を泳ぎ切る処方せん相場英雄の時事日想(最終回)(1/3 ページ)

» 2013年08月29日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『震える牛』(小学館)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『鋼の綻び』(徳間書店)、『血の轍』(幻冬舎)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 当欄で連載を始めてから早4年(関連リンク)。私はかつて籍を置いたマスコミ業界の裏側や、企業の隠れた思惑などに触れてきた。当欄の主要な読者層が若いビジネスパーソンと聞き、少しでも政府や企業の裏側を知るきっかけになればと思い、大手マスコミがフォーカスしない“暗部”に光を当ててきたつもりだ。

 小説と漫画原作の創作活動が多忙を極めているため、今回の原稿で本連載は終了となるが、最後に1つだけ、声高に主張しておく。政府や大企業は、これからもずっとあなたを騙(だま)し続ける。あなたは彼らに良いように躍らされ続けるのか。中年作家の斜に構えた視点から、1つの処方せんを提示したい。

巨人の言葉

 本題に触れる前に、いきなり脱線することをお許しいただきたい。

 今から20年以上前のことだ。私は友人に誘われ、初めて千代田区隼町にある国立演芸場を訪れた。目的は、故・立川談志の独演会。

 当時、サラリーマンになったばかりの私は、日々の仕事に追われ、かなり疲弊していた。クセの強い先輩や同僚に揉まれ、人間関係にも悩んでいた。

 そんな私を見かねた友人が、家元の独演会のプラチナチケットを入手し、招待してくれたのだ。大げさな言い方かもしれないが、このときナマの談志師匠の姿に接し、私は人生観が変わった。

 当時のメモを頼りに、談志師匠が“まくら”で語った言葉を再現してみる。

 学校は誰のためにあるか知ってるかい? もちろん、教師のためにある。それじゃ病院はどうだい? 医者と看護婦のためにある。奴らを食わせなきゃ、病院なんて立ちいかないないからな。それなら国会は? もちろん、議員様のために決まってるじゃないか。

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