クルマを運転しているときに、前方を走行中の自転車が何かの拍子でフラッと車道に飛び出してきて、ヒヤリとした経験を持つ人は少なくないはず。ボルボ・カー・ジャパンは、前方のサイクリストを検知して、衝突を回避・軽減するフルオートブレーキシステムを2014年モデルに導入する。オプション設定の「セーフティー・パッケージ」(20万円)に含まれる。
近年、趣味だけでなく通勤などでも自転車を利用する人が増えている一方で、マナー違反が原因の事故も増加傾向にある。自転車と自動車の事故の場合、追突事故の致死率は出会い頭の事故と比べておよそ10倍にも達する。そして、追突事故の原因の8割は「ドライバーの前方不注意」だ。
ボルボが導入するサイクリスト検知機能は、フロントグリル内に設置したミリ波レーダー、フロントガラス上部に設置したカメラと赤外線レーザーを使う。自転車との衝突が避けられないと判断すると、警告音が鳴るのと同時に、フロントガラス下部のヘッドアップディスプレイが発光して、自動でフルブレーキを作動。
自車の速度が時速4~80キロの間で作動し、車速50キロ以下で自転車との相対速度が時速15キロ未満の場合は追突回避(停止)、時速15キロ以上の場合は追突被害を軽減する。なお、検知できる自転車は、自車の前方を同一方向に向けて走行している大人用の自転車で、地上70センチ以上の高さにリア・リフレクターを装備しているものだ(逆走してくる自転車には未対応)。
ボルボは、2020年までに同社の新車によって起きた交通事故の死亡者や重症者をゼロにするという意欲的な目標「ビジョン2020」を掲げている。今回導入したサイクリスト検知機能は、同社がすでに導入している衝突回避技術「ヒューマンセーフティ」の発展形だ。搭載できるのは「S60」「V60」「XC60」「V70」「XC70」「S80」の2014年モデルから(すでに販売が始まっている「V40」の2014年モデルにも搭載可能)。
自転車に乗って記者会見に登場したボルボ・カー・ジャパンのアラン・デッセルズ社長は「かつて安全といえば、衝突したときの被害軽減でした。でも今は衝突を回避することを目指しています。日本市場には2011年から2つの衝突回避技術『シティセーフティ』と『ヒューマンセーフティ』を導入しましたが、日本人ボルボオーナーの導入率はほぼ100%に近い数字です」とコメントした。
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