「住宅買うのは今でしょ?」国交省は駆け込み抑止策も

» 2013年08月27日 06時14分 公開
[産経新聞]

 住宅購入の駆け込みが9月にかけて加速しそうだ。消費税が予定通り来年4月に8%に上がれば、現在の5%の税率が適用されるのは9月末の契約まで。今後の物価上昇にともなう金利先高観も意識され始めた。住宅各社は「いまが買い時」と呼びかけ、販売促進に力を注いでいる。

 24日、東京都大田区の住宅展示場では「消費税アップ前のラストチャンス!」「今なら間に合います」といった宣伝文句が躍っていた。場内には30歳代前後の家族連れの姿が目立つ。中堅住宅メーカーの担当者は、「お盆で帰省し、両親などと住宅について相談してきたお客さまの来場が増えた。9月末までに契約するなら、まだ十分間に合う」と話す。

 国土交通省がまとめた6月の新設住宅着工戸数は前年同月比15・3%増の約8万3700戸。住宅各社の受注金額も、大和ハウス工業が4〜7月の累計で前年同期比18%増、住友林業は同23%増。いずれも4月以降の伸びが大きい。

 さらに夏場に入ってからは、「消費税増税を意識した契約が目立ってきた」(大手住宅会社)という。政府は26日から31日まで約60人の有識者を集め、消費税増税の影響を検証する集中点検会合を開く。予定通り増税すべきだという指摘が多ければ、駆け込み購入に拍車がかかる可能性が高い。

 また、日銀の量的緩和政策で物価高に転じれば、現在は超低金利の長期金利の上昇が見込まれる。業界では住宅購入の動機が、増税よりも「ローン金利の先高観から来ている」(同)との見方も強まっている。

 駆け込み需要が盛り上がれば、その後の反動減も予想される。このため国土交通省は来年4月から拡充する住宅ローン減税やすまい給付金など、消費税増税を前提とした住宅購入支援策に関する一般向け説明会を24日から開始した。全国47都道府県で9月末まで順次、開催する。

 ただ、みずほ総合研究所経済調査部の大和香織エコノミストは、支援策が「購入予定者の6割に何らかの恩恵があるが、年収500万〜600万円の中間層は手薄」と分析。金利先高観も相まって、購入検討を急ぐ消費者は増えそうだ。(藤沢志穂子)

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