そのYouTubeで、TBSやテレビ朝日、フジテレビなどが動画配信を始めた。日本はテレビとネットの連携の動きが米国に比べ3年ほど遅かった。しかし、ここに来てテレビ局は踏み込んでいる。そこには「地デジが完成した」という事情がある。大騒ぎして消費者にテレビを買い換えさせた。でも、正直なところはどうなのか? 映像はキレイにはなったけど、すごくよくなったのか? デジタルならではの、便利で面白いサービスが求められているのだ。ネットもスマホも使おう、という方向だ。
事態も切迫している。かつてテレビは黄金のビジネスだったのでネットに手を出すのは戦略から外れていたが、テレビ広告市場は縮小し、ビジネスをネットやソーシャルメディアに持って行かれる。守りから攻めに転ずる段階になった。
広告主も賢くなっている。もう視聴率だけでは簡単に広告を出さない。どういう人が見ているか、“視聴質”も問われる。テレビCMを引き上げてネットだけでCMを打つ、別手段のプロモーションを行う、という企業も増えている。特に国際的な企業にはそうした傾向が強い。
YouTubeなどネットの攻勢に対し、何もしないと「テレビは死ぬ」ということは明らか。テレビ局がよいサービスを開発できるかどうか。今後もテレビ画面は見られ続けるだろう。でも、テレビ番組をリアルタイムで見ることは減り、マルチスクリーンを同時に使うことは増える。
録画した番組やネットのコンテンツ、ソーシャルサービスなどの多様化が進む中で、テレビ局のコンテンツがどれだけの位置を占めるか。映像メディアに占めるテレビ局の比重が高い日本の場合、その位置付けが情報社会のモデルを左右する。
同時に、テレビは番組だけでなく電波もある。デジタル化したものの、以前と同じように番組を送っているだけで、まだうまく使えていない。新聞や雑誌、ソーシャルメディアなど、デジタル回線としてもっといろんなことに使えるのだが――。ビジネスを広げるチャンスはある。そちらにも力を入れてもらいたい。
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