ターゲットは“クルマ好き”――BMW & MINI、新しいカーシェアリングの形神尾寿の時事日想(2/3 ページ)

» 2013年08月26日 06時35分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

試乗よりもカーシェアリングの方が効果あり

ビー・エム・ダブリュー 営業ディビジョン ダイレクトセールスマネージャーの教野 猛氏(右)と、パーク24 タイムズカープラス推進部長の内津基治氏(左)

 「これまでの(タイムズカープラスとの)連携は期待以上の効果がありました。ディーラーでの試乗は20〜30分程度が普通ですが、カーシェアリングではもっと長い時間乗っていただき、BMWやMINIの良さを理解していただける。この効果は大きい。

 そこで今回は、(売れ筋の)3シリーズを中心に、新型の『ガソリンエンジン』、『クリーンディーゼル』、『ハイブリッドカー』のすべてを用意し、種類の異なる様々なパワートレインの車種に乗っていただきたいと考えたのです」(ビー・エム・ダブリュー営業ディビジョンダイレクトセールスマネージャー、教野猛氏)

 そのため今回の体験キャンペーンでは、BMW日本法人が車両を用意し、それをタイムズカープラス会員に無料で乗ってもらうという仕組みになった。通常のカーシェアリングとは異なるため、事前予約が必要であり、貸出時間も最大3時間という制約がつくが、ディーラーでの試乗に比べれば自由度が高い。そのため最初の予約申込受付分は「わずか4時間で売り切れになってしまった」(パーク24 タイムズカープラス推進部長の内津基治氏)という。

 改めて考えてみると、カーシェアリングの利用者は「クルマ利用のニーズはあるが、まだクルマを所有していない人」だ。さらにカーシェリアリングサービスの退会理由で多いのが、「クルマを購入するから」という調査結果もある。今回のキャンペーンのようにカーシェアリング会員向けに最新車種を提供するのは、自動車メーカーから見てもメリットがあるのだ。前出の教野氏は、「(カーシェアリングのユーザーからは)ディーラーにいらっしゃるお客様よりも、クルマに対する本音や、カーライフの素の部分が見えてくる」と話す。

クルマ好きも楽しめるカーシェアリングを

 一方、タイムズカープラス側は、利用時間が限定されるとはいえ、無料で会員管理の仕組みや貸出ステーションの設備・運用人員を提供することになる。その狙いは何だろうか。

 「単純に楽しいクルマや面白いクルマに、たくさん乗っていただきたいのですよ(笑)。僕自身もクルマ好きなので、いろいろなクルマに乗りたい。それをカーシェアリングで実現したいと考えています。

 例えば今回のキャンペーンでは、BMW側にお願いして、エコカーだけでなく趣味性の高い車種も用意していただきました。『MINI John Cooper Works Coupe』や『MINI Cooper Roadster』とか、乗っていてとても楽しいですよね。BMWの3シリーズでも335iクーペをラインアップしたり、クルマ好きが相当楽しめると思いますよ」(内津氏)

今回、用意された最新車種の一部。エコカーから趣味性の高いクルマまで、BMW&MINIの魅力が存分に味わえるものになっている

 カーシェアリングでは時間単位で課金し、ユーザー側から燃料代や保険代を徴収しない仕組みだ。そのため通常は、事業者側の運用コストを下げるために、燃費のいいハイブリッドカーやコンパクトカーなどを中心にラインアップされている。タイムズカープラスも基本はそうなのだが、内津氏は「それだけではつまらない」と喝破する。カーシェアリングだからこそ、スポーツカーやオープンカーなど楽しいクルマに気軽に乗れるようにしたいと言うのだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.