ちなみに、拙著『震える牛』(小学館)がWOWOWで実写化された際のことに触れる。劇中、主演の三上博史氏はスパスパ煙草を吸っている。原作にはない演出であり、ベテラン俳優さんが考え抜いた役作りの一環だ。禁煙学会がジブリに要望書を出した観点からすれば「アウト」だ。しかし、WOWOWに問い合わせたところ、本稿執筆時点で同学会からの要望書は届いていないうえ、視聴者からの苦情もないという。
また、漫画作品『書かずの753』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊、作画:中山昌亮氏)の本編中にも、「ニコチンが切れると記事が書けなくなる記者」が登場する。この作品に関しても、要望書の類いは届いていないという。
繰り返しになるが、どんな種類の啓蒙活動も邪魔するつもりはない。だが、創作活動の領域まで“啓蒙”が踏み込んでくるのは、大人げないうえに、別の思惑まで惹起することになるのではないだろうか。
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