原宿のカフェとカレーとルーズリーフに書かれた履歴書の話サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/4 ページ)

» 2013年08月14日 08時30分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

質問によって「類推する」というテクニックは面接で必要か?

 ほとんどの読者の皆さんはお気付きでしょう。先ほどからの会話、質問がとても素直です。そして、どれも相手が答えやすい“形”にされています。ですから、面接をされている女性も自分の言葉で、素直に答えることができている。

 新卒採用の現場では、「質問する採用担当者の意図を測りかねる質問」をよく見かけます。「自分を色に例えると?」とか、「あなたが今、動物になったとします」という珍問までいかないまでも、「それを聞いてどうするんだ?」という質問は少なくありません。そういう質問をしながら、相手の資質を類推するのだと採用担当者は訳知り顔で語ることが多いのですが、実際にそれで相手の資質を測るのはとても難しいこと。面接を受ける相手も戸惑って、頓珍漢な答えをしてしまいます。本来の資質や、その人のキャラクターを知りたいのなら、もっとシンプルな質問でいいのではと、私はいつも思っていたのです。

 「給料はそんな高くないけど大丈夫?」「いつから来られる?」

 きわめて実務的な質問で、面接は無事終了しました。私もちょうど、食後に追加で頼んだマサラチャイを飲み終わったところでした。後日、このシーンについて、私が主催していた小規模なキャリア関連の勉強会で話し、意外に凄いかもしれないという視点で整理してみました。以下に個条書きしてみます。

  1. 自社の事業についての理解度をさりげなく測っている
  2. 顧客などへの理解度を聞くことで、やるべきことも可視化している
  3. 自社の仕事の説明をしつつ、今までの経験をも棚卸しさせている
  4. 楽しかった? という言葉で、その仕事への相性をみている
  5. 相手に分かりやすい言葉で、相互理解をするお膳立てをしている

 まだ他にもたくさん出たのですが、ここでは割愛します。要は「採用面接において必要な部分はある程度押さえつつ」、なおかつ「それをリラックスした雰囲気」で「大げさな舞台装置もなく」やっているところが良いと。

 採用は真剣勝負なのだからリラックスした雰囲気などいらない、というお叱りの声も聞こえてきそうです。ただ、この面接を担当した人が真剣ではなかったか、というとそんなことはないでしょう。きっと、いい人を採用したいと願っていたはずです。小規模な事業者であればあるほど、採用した人の出来不出来はたちまち日常の業務に跳ね返ってきますから。「使えないから別の部署にまわす」ということはできないのです。

(写真は本文と関係ありません)

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