就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。
使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。
クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』がある。
個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントにつらいです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
以前、居酒屋でたまたま隣り合わせになった大学生たちの会話を小耳に挟んだことをキッカケにして、キャリア教育について思いを巡らせてみたことがありました(参照記事)。仕事柄、そういうシーンに出くわすと、他の人よりも聞き耳を立ててしまうのです。先日も、あるエスニック料理の店でとても気になるシーンに出会いました。少し「架空実況」のようなものをしてみましょう。
→「ハローワークで“やりたいこと”を探してみたけどなかった、という話」
場所は東京・原宿の相当な外れ。ここを原宿と呼んでいいのかと、知らない人なら思うようなところです。仕事がたまたま立て込んでいて、私が遅い時間のランチをとっていると、隣で若い女性が男性からいろいろと聞かれていたのです。よく見ると、男性の手元にはルーズリーフにヨレヨレの字で何やら経歴のようなものが書かれています。
私は内心「え、こんな席と席がくっついているような店で面接!?」と思ったのですが、どんな面接をするのか興味をひかれました。アイスチャイを飲みながら、2人は会話を続けていきます。
男性: 「ウチがどんな店か知っている?」
女性: 「はい。以前から好きで、何度もお客さんとして」
男性: 「来ていたの?」
女性: 「はい。なので、扱っている商品やブランドも知っています」
男性: 「じゃあどんなお客様が来るかも?」
女性: 「全部は分かりませんけど、大体は分かると思います」
なるほど、ルーズリーフに写真も貼られていない履歴書のようなものを作ってきた女性にしては(失礼ですね、この表現)きちんとした受け答えをするなぁと、運ばれてきたカレーを食べながら、私は隣のテーブルを改めて見ていると、どうやら履歴書は持ってきていなかったようで、その場で書いたもののよう。これは推測にすぎませんが、書かれていることが「履歴」ではなく「これまでにやったこと」だったことも興味深い点です(この時点でもう、私は相当怪しい人ですが……)。
男性: 「いままでの店でやったことは?」
女性: 「販売がほとんどです。ですから接客です。ただ、仕入れにも興味があったので、仕事としては任されてはいませんでしたが、ついていったりしました」
男性: 「ほかの従業員の教育は?」
女性: 「先輩として教えたという感じです」
私は、スパイスの効いたカレーを口に運びながら、この原宿の外れのエスニックカフェで行われている面接を最後まで見届けようと思い、食べるペースを調整し始めたことはいうまでもありません。
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