本連載は、伊藤邦生著『年収1000万円の貧乏人 年収300万円のお金持ち』(中経出版)から一部抜粋、編集しています。
――年収1000万円。多くの人があこがれる数字です。「1000万円もあれば、あんなこともこんなこともできる」そんな夢を見る人もいるでしょう。しかし、1000万円稼いでも幸せなお金持ちになれるとは限りません。実際「お金の奴隷」となって、不幸な人生を送る人もいます。
一方、年収300万円と聞くとどうでしょうか? 「これでは満足できない」と言う人もいるでしょう。しかし年収300万円でも法則さえ知っていれば幸せなお金持ちになれます。年収が少なくても「お金の主人」になれれば、どんどんお金は貯まっていくのです。
年収がいくら高くても「お金の奴隷」に甘んじる人もいれば、年収300万円でも確実にお金持ちに、そして幸せになる人もいるのです。
その差を分けるものは何か? 本書では、お金持ちになる2つの法則をメインに、6つのステージに分けて働く理由やお金の流れなどを具体的に紹介します。
現在の日本社会では、これまでどおり周りに流されて何も考えずに生活していると、いつまでたっても稼いだお金を自分のものとし、資産を増やしていくことができません。
しかし、このような社会であっても、お金持ちになることはそれほど難しくはありません。そう言うと、多くの人は怪訝(けげん)な顔をします。しかし、お金持ちになるための法則は実にシンプルです。次の2つを実行すればいいのです。
たったこれだけです。
昔の私であれば、確かにふに落ちない顔をしたと思います。そんな簡単にお金持ちになれれば苦労しません。しかし、投資ビジネスに関わり、自分自身と多くの人の資産形成に携わってきた今なら、はっきりと言えます。
この2つの法則を徹底するだけでお金持ちになれます。こんなシンプルな方法でお金持ちになれるのなら、なぜ多くの人がそうなれないのか不思議ですよね。実は、これには理由があります。
法則その1は、実現するのはとても難しいです。言い換えると、できる人は簡単にできるのですが、できない人は習慣化しないとなかなか身につかないのです。年収300万円の人には身についていますが、前回紹介したような、年収1500万円の証券マンには身についていません。
ただ、そもそも「自分のために働き、自分のお金をつくる」というのは、働いて稼いでいる人にとっては「当たり前の話じゃないか」と思うかもしれません。しかし、当たり前ではないのです。
私の愛読書の1つに『バビロンの大富豪』(ジョージ・S・クレイソン著 キングベアー出版)という本があります。そのストーリーの中で、貧乏な主人公がお金持ちの賢者の元へ「お金持ちになるひけつ」を聞きに行くとお金持ちの賢者がアドバイスをするやりとりが出てきます。
「自分の稼いだ分の一部を自分のものとしなさい」
すると主人公が答えます。
「稼いだ分はすべて僕のものです」
すると賢者が言います。
「おまえは生活をしていくために、食べ物や服を買ったり散髪に行ったりしているだろう。食品会社や衣料品店、散髪屋のために働いているのだ。だから最初に、稼いだお金の1割を自分のためにとっておくのだ」
これは、核心をついたお金のアドバイスです。私はこの箇所を読んだとき、大きなショックを受けたのを覚えています。当時はまだ20代でしたが、証券会社で朝から晩まで働き、自分のためにお金を稼いでいる気持ちになっていました。しかし私は、自分の住んでいるマンションの大家さん、居酒屋やスーパー、衣料品店に自動車メーカー、電機メーカーなどのために一生懸命働いていたのです。
この本を読んでから、私は自分自身のために給料の一部をまず貯金するように習慣化しました。
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