インタビュー
» 2013年08月09日 07時00分 UPDATE

ネット広告の先駆者に聞く:デジタルマーケッターよ、自社がどうやって稼いでいるか知っているか? (1/5)

マーケティングは長嶋監督の「カンピュータ」から野村監督の「ID野球」に変わるべきだ。日本のインターネット広告業界を常に一歩早く歩んできた横山隆治氏に、デジタルマーケッターのあるべき姿を聞いた。

[岡田大助,Business Media 誠]

 マーケティングという用語の前に「デジタル」という言葉がつくことが増えてきた。同時にマーケッターという職種にもデジタルマーケッターと呼ばれる人々が存在し始めている。そもそもデジタルマーケティングとは何なのか。デジタルがつかない従来のマーケティングとは異なるものなのか。

 日本におけるインターネット広告の先駆者である横山隆治氏(デジタルインテリジェンス 代表取締役)に、デジタルマーケティングの現状と課題、デジタルマーケッターに求められるものを聞いた。聞き手はBusiness Media 誠編集部の岡田大助。

日本のインターネット広告の世界を半歩先で歩んできた男

デジタルマーケティング 横山隆治氏

岡田: 横山さんは日本のインターネット広告の黎明期から常に第一線で活躍されていました。日本のインターネット元年は1995年ごろといわれていますが、その後すぐにインターネット広告を始めていますよね。

横山: 1996年にデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)を立ち上げてからですから、インターネット広告業界にはもう18年くらいいますね。今ではMITメディアラボの所長をやっている伊藤穰一君とインフォシークを始めて、その専売レップとしてスタートしました。小さなバナーを1週間露出すると100万円みたいな。

 ところが、すぐに別の会社がヤフーの広告を扱い始めたので、立ち上げた瞬間に優勝劣敗が明確になってしまって(笑)。そこでインフォシークだけ担いでいてもしょうがないと、米ダブルクリックの広告配信技術「DART」のライセンシーとなりました。日本で最初のアドネットワークですね。

 当時はニューヨークにあったアドサーバを使っていたのですが、日本で不具合が発生しても向こうのエンジニアが対応してくれない。それに業を煮やしてしまって、別のアドサーバ会社をソースコードごと買収しました。それをDACでローカライズというか、手作業で全部作り直したんです。そのときの経験や技術はいまでも基盤になっています。

 振り返ってみると「日本で初めて」と付くものを多く手掛けていますね。インターネットバナー広告から始まって、アドネットワークに移り、Web広告を一元管理できる第三者配信もそう。インフォシークにしても日本初のロボット型検索エンジンでした。

岡田: どれも今のインターネット広告では当たり前の技術ですね。ほかにも「初」となりそうなものはありますか?

横山: いろいろ実験もやりました。例えば、最近トレンドになっているリターゲティング広告の拡張実験も3〜4年前にやったんですよ。そのときは「こんなことって世の中で流行するのかな?」と半信半疑だったんですが(笑)。

 それから携帯電話向けの広告配信実験も早い時期にやりましたね。iモードは1999年4月に始まったのですが、その翌月にはDARTでiモード携帯電話向けの広告配信をやってます。当時、F501iという富士通製の携帯電話を持っていまして、その液晶画面が一番小さかったんです。ピクセル数を数えてそれに合うバナーを配信したんですが、おそらくこれって世界初のモバイル広告だと思いますよ。

岡田: 日本初どころか世界初まで。いまでも技術革新は続いていますけども、あのころは「ドッグイヤー」と言われていて、急激にネット上のいろいろなことが伸びていきましたよね。

横山: インフォシークやDACを始めた1996年というのは、電通が毎年まとめている「日本の広告費」に初めてインターネット広告が取り上げられた年でもあります。今でも数字を覚えていますが16億円でした。

 やっぱりエポックメイキングだったのは孫正義さんが駅前でADSLモデムを配ったことでしょうね。それ以前は「ピーヒョロヒョロ」の世界で、みんな夜11時のテレホーダイタイムにならないとつながない。インターネットに興味がある人たちだけのインターネットでした。だから、インターネットマガジンだとかアスキーだとかの広告面が売れたし、メールマガジンが広告商品にもなった。

 ところが、常時接続になって1人当たりの接続時間だとか、ページビューだとかが3倍、4倍と急激に伸びていった。当然、1人当たりの訴求力という意味でインターネット広告の価値もグーンと上がった。いまでは新聞を超えて8000億円超まで伸びたわけです。

岡田: 懐かしいお話がいろいろと出てきました。もっといろいろお伺いしたいのですが、そろそろ本題に入りましょう。今、教えていただいたこと以外にも横山さんはさまざまなデジタルマーケティングを手掛けてこられた。その横山さんが考えるデジタルマーケティングの定義とは何なのでしょうか?

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