国鉄時代から、指定券などの料金施策はほとんど変わっていない。国鉄時代はSLやまぐち号などわずかな例を除くと、指定席券は乗車券や急行料金を伴うという前提だった。だから指定席券の払戻手数料が320円でも差し支えなかったかもしれない。
ところがJR発足以降に、イベント列車やSL列車など、普通列車に指定席が設定されるという傾向が顕著になった。それまで普通列車として運行されていた夜行快速列車も、着席サービスを向上させるため「ムーンライト」へとリニューアルされた。いまさら言っても仕方ないけれど、本当はこの時点で、指定席券と払戻手数料の比率を見直すべきだった。
そこでどうだろう。次回の消費税関連の運賃・料金を設定する際に、普通列車の指定席券については1000円以上に値上げしたらどうか。これで「記念購入」や「キャンセル手続き未遂」のリスクを減らせるのではないか。値上げしたくないというなら、ちゃんと乗車券を伴って利用した指定券について、到着駅でキャッシュバックすればいい。窓口の手間は増えるけれど、券売機だって進歩している。Suicaで改札を通過する際に自動的に戻すという方法も、技術的に可能ではないか。
大手オークションサイトには「ムーンライトながら」の指定券が多数出品される。「キャンセルしても返金されないから転売しよう」という考え方もあるだろう。法的にはグレーゾーンのようだが、すべてが転売目的とは限らない
- 鉄道ファンは悩ましい存在……鉄道会社がそう感じるワケ
SL、ブルートレイン、鉄道オタク現象など、いくつかの成長期を経て鉄道趣味は安定期に入った。しかしコミックやアニメと違い、鉄道ファンは鉄道会社にとって悩ましい存在だ。その理由は……。
- 「青春18きっぷ」が存続している理由
鉄道ファンでなくても「青春18きっぷ」を利用したことがある人は多いはず。今年で30周年を迎えるこのきっぷ、なぜここまで存続したのだろうか。その理由に迫った。
- なぜ新幹線は飛行機に“勝てた”のか
鉄道の未来は厳しい。人口減で需要が減少するなか、格安航空会社が台頭してきた。かつて経験したことがない競争に対し、鉄道会社はどのような手を打つべきなのか。鉄道事情に詳しい、共同通信の大塚記者と時事日想で連載をしている杉山氏が語り合った。
- JR東日本は三陸から“名誉ある撤退”を
被災地では、いまだがれきが山積みのままだ。現在、がれきをトラックで運び出しているが、何台のトラックが必要になってくるのだろうか。効率を考えれば、鉄道の出番となるのだが……。
- あなたの街からバスが消える日
バスは鉄道と並んで、地域の重要な移動手段だ。特にバスは鉄道より低コストで柔軟に運用できるため、公共交通の最終防衛線ともいえる。しかし、そのバス事業も安泰ではないようだ。
- なぜ「必要悪」の踏切が存在するのか――ここにも本音と建前が
秩父鉄道の踏切で自転車に乗った小学生が電車と接触して亡くなった。4年前にもこの踏切で小学生が亡くなっている。なぜ事故は防げなかったのか。踏切に関する政策を転換し、「安全な踏切」を開発する必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.