コラム
» 2013年07月26日 08時00分 UPDATE

INSIGHT NOW!:「ブラック企業」と呼ばれないために今できること (1/2)

以前なら「体育会系だねぇ」で済まされていたような会社まで、今やある日突然に「ブラック企業」扱いされかねない。自業自得の側面もあるが、よほど経営者が自覚を持たないと「明日はわが身」である。

[日沖博道,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:日沖博道(ひおき・ひろみち)

パスファインダーズ社長。25年にわたる戦略・業務・ITコンサルティングの経験と実績を基に「空回りしない」業務改革/IT改革を支援。アビームコンサルティング、日本ユニシス、アーサー・D・リトル、松下電送出身。一橋大学経済学部卒。日本工業大学 専門職大学院(MOTコース)客員教授(2008年〜)。今季講座:「ビジネスモデル開発とリエンジニアリング」。


 ある縁でその地のコンサルタント仲間に要請され、地方のある中堅企業を何度か訪ね、経営改革を議論したことがある。イシュー(論点)は色々と変わったが、小生が何度か蒸し返したのが、営業改革を通じての企業体質変革であった。それには理由がある。

 その会社はその地方では有力な上場企業だが、今の経営トップが一代で築き上げた急成長企業である。典型的な叩き上げ型である経営トップの号令下、積極的な営業方針で伸びてきた。それでも今や子息の代になって組織の近代化を進めており、本社の管理手法などは東京の大企業と(少なくとも表面上は)同じようなものを取り入れている。

 しかしながら営業のやり方、管理の仕方に関しては昔のままである。一匹オオカミ的な営業マンが個人の才覚で、狙った客に飛び込み訪問する「プッシュ型」である。営業所長もプレイングマネージャーとしてノルマを持つ。ここまでは実にありふれた典型的「ニッポンの営業組織」なのだが、この会社、営業マン個人に対する歩合の比率とその報酬額が実に高く、1件受注に成功するとXX間(微妙なので数字は伏せる)くらいは遊んでいても構わないほどである。

 その結果、営業マン同士は、互いの案件を横取りすることはさすがにしないが、まったく連携しない。上司も部下への指導よりは、自分の受注を上げるのが最優先である。それでどうなるかというと、地元人脈を押さえているベテランが高度に安定した成績を続けて稼ぐ一方で、若手はなかなか成績が上がらず、その多くが定着せずに辞めていく。結果として中堅層は少なく、極端に忙しい。すると若手へのOJT実施者が不足し、若手の離職率に拍車を掛けている。

 こうした状況が望ましいとは当該企業も思ってはいないが、長期にわたった不況下、高い離職率でも新人獲得には苦労が少なかった。ましてやその地方では有数の高給会社である。多少仕事がきついという評判でも入社希望者は絶えなかったので、取り立てて特別な対策をしてこなかった(「無策」だったわけではないが、聞いてみると小手先の対策ばかりである)。その状況を小生が問題視し、チーム式営業を基本として推進体制とプロセスを変えるように持ち掛けた。

 しかしながら窓口である経営企画部門の人たちの腰は重かった。最高権力者である経営トップがウンと言わないだろう、へたをすると怒鳴られかねないと懸念したのである。なぜならこうした「札束でビンタ」の「一匹オオカミ」営業方式でずっとのし上がってきた会社なので、それを否定することは経営トップには受け容れがたいと考えたようである。結局、その話はそれ以上進まず、いまだにその会社は同じやり方を続け、若手の定着率は改善していない模様だ。

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