なぜJR北海道でトラブルが続くのか杉山淳一の時事日想(7/7 ページ)

» 2013年07月26日 08時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]
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JR東海、JR四国の成功例も学べ

 会計検査院が2011年度にJR北海道のずさんな整備状況を指摘した時、JR四国についても同様の調査結果を発表していた。延べ987両について、検査項目や検査記録に不備があった。JR四国は4カ所の検査施設で異なる記録用紙を使い、それぞれの項目に不備があった。また、検査を担当する子会社に対する指導、監督が不十分だったと指摘している。JR四国はさっそく改善に取り組み、指摘から2カ月以内に記録用紙を統一し、検査品質を向上させたようだ。

 また、配電盤の火災はJR東海でも起きている。2010年8月に「のぞみ155」で、過電流が発生した時にブレーカーが働かなかった。原因はハンダの不良で、JR東海は該当するブレーカー約9200個を交換している(参照リンク)。この情報は速やかに詳細が公開された。他の鉄道事業者にも参考になったはずであった。

 JR北海道は2016年に新青森−新函館間で新幹線を運行する。目標時速は360キロメートルという。とても待ち遠しいけれど、現在のような車両整備状況では、怖くて乗れない。いま、JR北海道が取り組むべき問題は、マニュアルの精査改善と、マニュアルを守らない人に対する毅然とした態度だ。マニュアルが守られない人には仕事をさせない。そのくらいの強い姿勢が必要だろう。関連会社も含めて労使一体となり「安全第一」という共通意識を持って、いち早く異常事態から脱出してもらいたい。

編集部より、訂正とお詫び

当記事において、7月26日の掲載時点で「北海道では……」と記述すべきところを「JR北海道では……」と記述してしまいました。訂正して、お詫び申し上げます。なお該当箇所(3ページ目)については、既に修正しております。


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