土肥:次に、なぜ科学?
田村:科学技術の進歩で、製品の操作はどんどん簡単になって、サービスもどんどん便利になりました。その一方で、科学技術の仕組みを理解している人は減っています。例えば、クルマがエンストした際、ボンネットを開けて修理できる人はどのくらいいるでしょうか。一昔前だったらかなりいましたが、いまのクルマは電子部品をたくさん使っているので、修理できる人はほとんどいないでしょう。
ノーベル賞を受賞された山中伸弥教授は、受賞の知らせを聞いたとき、洗濯機を修理しようとしていました。クルマと同じように、いまの洗濯機を修理できる人はどのくらいいるのでしょうか。
科学の知識が不足すると、どうなるか。おかしな風評やニセ科学者、それを使うメディアに扇動されてしまう。だまされないためにも、私たちは、科学技術の本質をとらえる知識と考え方が必要だと思っています。
土肥:最後、哲学について。
田村:「自分はなんのために生きているのか」「どんな価値を大事にすべきなのか」――こうしたこ哲学的な問いを、自分自身に投げかけたほうがいいですね。なぜなら生きている限り、こうした問題には必ず直面するから。就職、結婚、リストラ、離婚……こうした局面において、「自分はなんのために生きているのか」「どんな価値を大事にしているのか」を考えていなければ、答えがでてきません。
自分にとって大切なモノはなにか。カネだったらカネでいい、社会貢献だったら社会貢献でいい、愛だったら愛でいい。自分が大切にしている「基準」を知らなければ、人生の節目で「決断」ができなくなる。「世界で戦う」ことを決めても、準備を怠ればその後の人生を大きく左右するかもしれません。
クルマが故障して、その場で修理できる人は少ない(写真はイメージです)
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