タックスヘイブンに流れる日本の「税金」を取り戻せ伊吹太歩の世界の歩き方(5/5 ページ)

» 2013年07月18日 08時00分 公開
[伊吹太歩,Business Media 誠]
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タックスヘイブンの透明化は世界的な傾向か?

――そもそもタックスヘイブンでは、簡単にペーパーカンパニーを作れるのか?

シャクソン: それはタックスヘイブンとなる国による。例えばケイマン諸島だと、ほとんどのカネはヘッジファンドから来る。だがずいぶん前には、麻薬からのカネが多かった。そういうカネはほかのタックスヘイブンに流れていった。

 現在、スーツケースに現金を詰めてケイマン諸島を訪れても、口座を開くのはかなり難しい。もっと小さなところ、例えばアルバ(南米ベネズエラの北西沖に浮かぶ島)に行けば状況は違う。クック諸島もある。こうした国なら、断然簡単だ。

 1つの会社が別の管轄地域の会社に所有されていて、それがまた別の島の会社に所有され、その会社がスイスに口座を持っていて、という具合に続く。こうなるとカネの動きを追うのはかなり難しくなる。

――米国がスイスに米国人の口座情報を開示するよう迫ったように、そういう傾向がこれから広がるのか?

シャクソン: そう思うが、限定的だ。スイスに対して米国が何をしたかというと、スイス銀行や銀行関係者たちを国家反逆罪に問い、強制的に言うことをきかせようと圧力を与えた。

 それでスイスが少し折れて、米国は少しだけ情報を得ることができた。米国はスイスの銀行に少しだけ『侵入』できたのだ。これはとても大きな意味があるのだが、結局は2国間のやり取りに過ぎない。これ自体は、他の国に何ら影響を与えない。

 例えば日本。米国が少しスイスから情報を得たからといって、日本も同じことができるという意味ではない。ただ米国は、金融機関同士が情報を共有するための試みを進めている。これは米国のモデルで、欧州もスイスの透明性を高めることを目指して動いている。ただ香港やシンガポールは今もそうした動きにかなり抵抗している。

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