日本人は気にしないAやTheが英語を支配するビジネス英語の歩き方(3/5 ページ)

» 2013年07月17日 08時00分 公開
[河口鴻三,Business Media 誠]

日本の報道に見る「男」の使い方

 犯罪者について、こんな記事が新聞やテレビで扱われます。

2日午後4時40分ごろ、埼玉県坂戸市の市立千代田小学校の教頭から「児童が襲われた」と、110番通報があった。県警によると、同小近くの公園で遊んでいた5年生の男児(11)と女児(10)が、男に刃物のようなものを押しつけられ、腕に引っかかれたような跡がついた。けがはなかった。男は逃走し、県警が暴行事件として調べている。(朝日新聞デジタル版7月2日)

 こういう場合、2回目の「男」には英語であれば当然theがつきます。しかし日本語では、「男」という同じ単語が繰り返し使われます。その中には社会的憎悪が込められており、「男性」というもうひとつの単語を使わないことで、犯罪のような反社会的行為を行う人間であるという「特定」を行なっているわけです。

 こういうところに日本語の特徴が非常によく出ています。「女」という表現も、犯罪者について頻繁に使われます。「女性」という単語は、好感を込めて使われるためにリザーブされていて、「女性に人気のカフェが、渋谷にオープンしました」などといわれることはありますが、「女に人気のカフェが」とはいいません。

 日本語では言葉を選ぶ際に、社会的立場(上下、強弱、年齢、性別など)の相違に意識を集中することが期待されており、ロジックや数にはあまり意識が集まりません。ところが困ったことに英語では、まさにそこに微妙なニュアンスが置かれるのです。

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