ユーロ圏の銀行に経営破たんのきざし藤田正美の時事日想(3/3 ページ)

» 2013年07月17日 08時00分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]
前のページへ 1|2|3       

 おりしも、中国はシャドーバンキングの残高が130兆円とも600兆円ともいわれ、これが火種になる可能性もある。この巨額の資金がいっせいに逃げだそうとすれば、それだけでパニックになりかねない。世界第2位の経済大国である中国だが、これまでの「放漫経営」のツケが回ってくる可能性もあるのだ。

いつ米国は世界経済を引っ張る機関車国に戻るのか?

 別に危機を煽っているわけではない。米国はいちおう景気回復の軌道に乗ったように見える。FRB(連邦準備理事会)のバーナンキ議長の「出口」発言にしても、それを言い出せるほど状況がいいということでもある。しかし、米国以外ではまだ力強さはない。

 日本の2013年の成長率は2.0%と、4月よりも0.5ポイントも引き上げられた。アベノミクス効果が大きい。ただIMFも日本がこれで本格回復に向かうとは見ていない。2014年の成長率見通しは、1.2%と再び低下する。それは「世界経済全体が減速しているからだ」とIMFリポートは説明している。

 新興国の成長率が落ちて、牽引車を失った世界経済が、今後どのように動くのか。米国がいつ機関車国に戻るのか。日本の周りはいつもにも増して、リスクがたくさんある。参院選に勝っても、安倍首相が枕を高くして眠れるわけではない。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.